夏の日の余韻に浸る一作

高校二年生のときに付き合い始めた深沢くんと野中さん。進学し、互いに異なる道を歩み始めても、変わらず深沢くんは野中さんを大切に扱ってくれ、「かわいい」と繰り返してくれます。

深沢くんの笑顔のように優しくて穏やかな日常は、優しく穏やかなまま終わりを迎えようとしています。

世界のどこかで常に繰り返される出会いと別れ、その凡庸な出来事のひとつひとつに、こころを大きく震わせた物語が潜んでいるのだろうと感じさせる一作です。