美しく洗練された文で紡がれる甘い二人の空間。物語が進むにつれて見えてくる赤はりんごの色か、それとも彼女の唇の色か。
たった1400字程度の短編であるにも関わらず、二人の蜜で艶やかな関係がチューベローズの香りと共にしっとりと読者に伝わります。
ですが、甘酸っぱいアップルパイの中に入っているのは禁断の果実。ただの甘い関係だけでは終わりません。
最後の一文を読んだ瞬間、あまりの美しさに鳥肌が立ちました。
甘酸っぱいというにはあまりにも妖艶すぎる大人のアップルパイ。
ぜひその罪の味を、最後の一口まで余すことなく堪能してみてください。