チューベローズとアップルパイ

作者 月音

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★★★ Excellent!!!

禁断の果実を、じっくり煮詰めて、煮詰めて。
余分な水気のなくなった、ドロリと濃厚なフィリングは、さっくりとした生地に閉じ込めて。
しっとり焼き上げたら、酸味と甘味のバランスが絶妙な、大人のアップルパイの出来上がり。
少し淫靡な香りがします。
熱いうちに召し上がれ。
そんなお話です。
(※レシピ本ではありません)

★★★ Excellent!!!

林檎。それは創世記に綴られる、禁じられた果実。原罪の実。
女は妖艶に微笑み、清純に羞じらう。幾重ものパイ生地におおい隠された、罪の果実はあまやかに馨る……。
馨りたつような筆致で綴られた禁じられた愛のあり様にじんとあまく胸が痺れました。それはまわりからみれば危険な罪の関係だけれど、彼と彼女にとっては一生に一度の純愛なのでしょう。

これを見掛けたあなた。
今宵の読書にひとかけの林檎のパイは如何でしょうか。
眩暈がするほどにあまくて、最後にほんのちょっぴりシナモンの香りがにがくて。きっと、やみつきになるはずです。

★★★ Excellent!!!

 林檎は、アダムとイブの物語から禁断の果実と言われ、男女関係を彷彿とさせるけれど。なら、そんな果実を使うアップルパイは何なのか。

 それは、罪の果実を包み込む秘密の重なり。
 重なり合い、幾重もの層となる。

 色の描写、香りの描写、音の描写によって艶やかに表現される風景と、しっとりとした大人向けの雰囲気とラストに、短編と思えぬ印象を残すでしょう。

★★★ Excellent!!!

凄く艶やかで色香漂う描写に、執事と政略結婚前のお嬢様?そんな印象を抱きながら読んでいました。それがラスト一文で全てを覆す展開に感嘆しか漏れませんでした。個人的には異母兄妹?血の繋がりはないのか、あるいは同じ血の通う兄妹?
罪の味、罰の味に想像が掻き立てられました。

★★★ Excellent!!!

美しく洗練された文で紡がれる甘い二人の空間。物語が進むにつれて見えてくる赤はりんごの色か、それとも彼女の唇の色か。

たった1400字程度の短編であるにも関わらず、二人の蜜で艶やかな関係がチューベローズの香りと共にしっとりと読者に伝わります。
ですが、甘酸っぱいアップルパイの中に入っているのは禁断の果実。ただの甘い関係だけでは終わりません。
最後の一文を読んだ瞬間、あまりの美しさに鳥肌が立ちました。

甘酸っぱいというにはあまりにも妖艶すぎる大人のアップルパイ。
ぜひその罪の味を、最後の一口まで余すことなく堪能してみてください。