第6話 三日目 最終日【完】
翌日の朝早くあややは母から叩き起こされた。
「あやな!起きなさい!」
「うーん…お星さま…もう食べれない…むにゃむにゃ」
「寝ぼけてんじゃないわよ!昨日の夜何があった!?」
母の言葉にあややがはっと目を開ける。
(もしかして昨夜の事がばれた⁉誰にも見つかっていないはずなのに)
「…なあに?」
恐る恐る返事をすると、そこには鬼の形相のような母が立っていた。
母の表情で真夜中の秘密がバレたと察した。
「言わなくてもわかっているよね? 昨夜のこと」
「…えーと、それは…。――はい」
早朝、きららとうららの母から連絡があったらしい。連絡を受けた母は当初信じられなかったそうだが、叩き起こしたわたしの気まずそうな顔を見て確信したそうだ。
きらら達の部屋の前に落ちていた公園の泥と、パジャマについたチョコレートの汚れを見つけたことがきっかけだったらしい。
きららとうららは真夜中抜け出したことを認め、真っ青になった二人の母がうちに連絡し今に至る。いくら親友のためとはいえ子供だけで真夜中に抜け出すなど言語道断!と、三人共たっぷり叱られた。
真夜中に子供だけで外出した罰として、当分きららとうららは母親と一緒に寝ることとなったそうだ。期限は二人の態度次第だとか。
そして、あややは父と母から子供が夜中に抜け出すことがどれだけ危険なことで、心配をかけることになるかとこっぴどく叱られることとなった。
叱られた理由も父と母が心配する理由もわかっている。
「もう絶対にしません。心配かけてごめんなさい」父と母に謝るあややの横顔はどこか凛としていた。
***
夕日が沈む頃。
きららとうららがうちまで見送りに来てくれた。二人の両親も一緒だった。
昨夜のことでお互いの親は申し訳なさそうに頭を下げているが、子供達のおしゃべりで緊張が解けた。
「うらら!きらら!来てくれてありがとう」
「本当に行っちゃうの?信じられないよ…」
「今まで私達と仲良くしてくれてありがとう。また遊ぼうね…」
うららの目に溜まった涙を見てあややも泣きそうになる。
「あやや~行かないでぇ~‼行かないでよぉ!」
鼻水をたらしながら大泣きしているきららを見て、あややもぽたぽたと涙がこぼれ落ちた。
「うらら、きららありがとう。二人がいたからどんなことも頑張れたよ。引っ越しても友達だよ。手紙書くね」
『あややー‼』三人肩を寄せ合い声を上げて泣いた。
三人でいっぱい笑って ふざけて 泣いて 仲直りして
(でもでもでもでも、やっぱり転校したくない。中止にならないかな)
二人から沢山の思い出をもらった。勇気をもらった。
新しい学校に行ってもきっと大丈夫だと思う。
不安になったら昨夜のことを思い出すよ。
「また星を見よう!絶対忘れないから」
二人にさよならを告げると、あややを乗せた車は新しい街へと旅立っていった。
夕暮れの空には
~Fin~
夏のエトワール Haige @haigeee3
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