水面を挟んであちらとこちら、妖しくも鬱くしい、越えては戻れぬ境界線

金魚に魅入られた、病弱な青年の物語です。
明治の花街の華やかで猥雑な様子が目に浮かぶようでした。
涼次郎の境遇や、金魚への執着、そして謎めいた辻君との逢瀬。
どこか背徳的な展開と匂い立つような文章に、すっかり引き込まれました。

決して幸せな結末とは言い難いラストですが、美しい見事な幕引きでした。素晴らしかったです。
異種間恋愛やメリバがお好みの方にぜひお勧めしたい作品です!

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