第13話

こういう大手チェーンの銭湯のいい所は、フードコートがある所だろう。

風呂上がりの飲み物に限らず、小腹が空いた時の軽食や昼食や夕食になるようなガッツリとしたご飯もある。



タッチパネル式の食券機の前に立つ。

2人が頼むものは決まっている。



「飲み物は、直接選ぶんだね。」



ポンとタッチした先は、ちょい飲みセット。

ミナトは生ビールと冷奴、オオダは生ビールと枝豆を頼む。


冷たく冷えたやや小さめのジョッキに美味しそうにビールが注がれている。



乾杯とグラスを軽く合わせるようにぶつけるとビールの飲み始めた。



「生きているって素晴らしい!」



口に泡をつけてニッコニコのオオダ。

それはさておき、話の本題だ。


旅先について。




「もう、調べるまでもないわね。

近場で言うなら、小樽か登別の2択よ。」



北海道の旅行雑誌をひらけば必ず記載されていると言ってもいい位、有名な場所だ。



運河と海鮮丼、ガラス工芸に目が行きがちだが…夜景やお菓子にワインや酒蔵もあり広い範囲では結構見る所のある小樽。

勿論、温泉もあり高級な旅館が並ぶ朝里温泉が有名だ。



熊牧場や地獄谷が有名な登別温泉。

タクシーを利用すれば、海にも行けて江戸時代を思わせる時代村や大きな水族館などの有名どころにも行ける。


登別温泉の街並みもどこか古風な感じで古き良き日本を感じる場所だ。




「近場なら支笏湖とかニセコとかもあるよね?」


「ニセコは、この時期は…冬季閉鎖の所もあるから観光はスキーが中心になるし…支笏湖も冬季閉鎖でホテル近郊では見る所が少ないし…ホテルも高級なスパがメインなところばっかやで。」




スキーはなぁ…。

腕を組み悩むオオダ。


嫌いではないが…スキー板もウェアも借りなければいけないため出費が非常にかかる。

よしやろうでやるには金銭的にハードルがやや高くなるために、本気でニセコに向かうならスキー道具は中古の値段と質次第になるだろう。



支笏湖も支笏湖であまりいい思い出はない。

社会人1年生の時にいった支笏湖のホテルの雰囲気に負けてバイキングを食べて帰ってしまったことがある。

バスでくるところではないと愚痴をお互い零していたので、ミナトもオオダから支笏湖の話が出るとは思っていなかった。




遠すぎても疲れるし、冬の海鮮を中心に小樽の美味しいものでも食べに当たるかなぁ…と話していたらメッセージがミナトの携帯に届く。



【11月の中旬に札幌駅集合でどっか行こう。

拒否権はないぞ☆】



こんな一方的なメッセージを送る奴は1人しかいない。




「オオダ、場所は登別にしよう。

奴が久しぶりに参戦だ。」


「ぁあ、親戚が小樽にいるアイツがいるならそうなるか。

どれ、あの女は酒が強くなったかな。」




友人との再会と久しぶりの旅行に胸と心を弾ませて2人はアルコールを飲みながら今後の予定を話していった。



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ミナトさんの日常 お引っ越しのお手伝い編 鷹美 @astta1x224

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