モンスター側の方がゲーム
ダンジョンから戻り、あかりの登録を済ませる。
「それでは無理がないように探索してね。あ、それと、2人は大体ここの支部を使うのよね?」
「そうですね。家から1番近いですし」
「それなら良かったわ」
満面の笑みでこちらを見るマリさんだが、先程呟いた内容を鑑みるに、あかりを使い金儲けしようとしてるんだろうなと思う。マリさんも案外普通の人なんだなぁと思うと少しだけ親近感が湧いた。
まぁ俺たちも近くて便利で顔もしれてる場所が楽だから良いけど。
あかりがカードを貰ったので一度宮崎支部から出た。
『ねぇ早くダンジョンに行って、レベル上げましょうよ!』
「そうだな。でも昼飯食べないと」
『はぁ!?アンタデブなんだからお昼抜いてちょうど良いくらいでしょ!』
なかなか失礼な事を言っているが、ここで昼を抜こうものならあかりが黙っちゃいないぞ?
「お兄ちゃん。ご飯食べに行こー」
『ぐ・・。こいつに逆らったら皮を剥かれるし・・。仕方ないわ。お昼にしましょう』
シャルもあかりの怖さに否を突きつける事が出来ないらしいな。俺としては痩せたい気持ちもあるんだけど。
お昼は近くの定食屋ですました。そこはスライム程度の従魔なら入れても良いよと言う事だったのでシャルも一緒にご飯を食べた。
外で食べに行くとあかりがかなり多めに頼むので、必然的に俺がたくさん食べることになる。
若干お腹が張っているが、探索をしているうちに消化されるだろう。
『やーっと本格的にレベル上げ出来るわ!』
ダンジョンについた途端、シャルが元気に跳ねる。
「この子はそんなにダンジョンに潜りたかったの?」
「あぁ。なんか知らんけど、テイムされてないモンスターはレベルがあって、それを上げたいらしいぞ」
「へー。もしかしてお兄ちゃんもあるの?」
「あるよ。モンスターになったからねぇ」
種族はピザデブとかいう完全なる悪口だけどな。
「レベル上げるとどうなるの?」
「進化するらしい」
それを聞いて驚くあかり。
「え!?じゃあお兄ちゃんも進化するの?」
「多分だけどな。何になるかはわからないけど」
「良い種族だと良いね!」
良い種族ねぇ。でもあかりにとってだったらイケメン化するのには待ったがかかるだろう。
というか流石に進化したら普通の種族にして欲しいところだな。ピザデブからの進化か・・。想像つかん。
話をしながら二層へと辿り着く。早速ゴブリンが現れたため、俺とシャルが動き出そうとすると、横を一陣の風が通り過ぎる。
俺が認識した時には既に目の前のゴブリンの頭部が胴体とさよならバイバイしていた。
『のぁ!?アンタの妹なんて速さなのよ!?しかも私達が戦闘に参加できてないから、経験値貰えないじゃない!?』
やっぱ戦闘に参加しないと貰えないシステムなのね?モンスターにとっては極限までゲームくさいシステムになっているのがなんか草なんだけど。
あれみたいだねスマホゲーでモンスター側を主役にしたゲームが想像できるわ。タワーディフェンスとかスライムの放置ゲーのやつね。
それはともかくとして、このままあかり無双をされるとダンジョンに潜る意味が薄くなってしまうな。
「なぁ。あかり・・」
「なぁに?お兄ちゃん?」
「あのな、実は俺とシャルが戦闘に参加しないと、どうにも経験値が入らなくて、レベル上げ出来ないみたいなんだよ。だからあかりは、その・・」
「え?もしかしてボクいらない・・?」
ジーザス!!
これはマズイですよ!?あかりの目のハイライトが消えておられる!
「そんなわけないだろ!?お兄ちゃんはあかりがいないと何も出来ないダメ人間なんだから!四六時中あかりと一緒にいないと息もできなくなっちゃうんだからさ!!ただ、レベル上げの時は後ろで見守って欲しいかなぁって思ってるだけだよ!」
「ホント?」
「ホントだぞ!」
「嘘ついてない?」
「お兄ちゃんはあかりに嘘なんてつかないって!」
「えへへ。そうだよね?もう!お兄ちゃんはボクがいないと生きていけないだなんて・・。ボクもだよ?お兄ちゃんがいない世界なんて滅亡すれば良いと思ってるからさ!」
滅亡すれば良いというか、あかりなら滅亡させそうなところが怖い。
「うんうん。それでダンジョンでレベル上げする時は俺とシャルに任せてもらって良いかな?」
「うーん。本当はお兄ちゃんに少しでも危ない事をして欲しくないんだけど、仕方ないかなぁ。でも!危なくなったらすぐにボクがモンスターを倒しちゃうからね?」
「OK、OK!じゃあそんな感じで今からは進んでいこう!」
「はーい。後ろでお兄ちゃんのかっこいいところ見てるのもアリだね」
あかりよ。後ろから俺のこと見たところでカッコいいところなんて一生来ないと思うぞ?デブがヒィヒィ言いながらゴブリンと戦ってる見苦しいところだけだと思う。
『アンタたち見てると胸焼けするわ・・。甘々というか、なんていうか・・キモい』
うるせー!こうでもしないとすぐに死亡フラグが立ってしまうんだよ!
最初の頃なんてな、リアルに食われて、『ふふ。これでお兄ちゃんはボクの中で一生生き続けれるね?ずっと一緒だよ?』って感じのバットエンドになりかけたんだからな!!
心の中でシャルに抗議しつつも、ゴブリンを探すために探索を再開した。
ダンジョンで変なスキル貰った トマトオニオンスライム @bakannushi
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