虹を探しに

 元来、二次創作は虹捜索などと比喩されていました。
 これは、聖書に於ける虹が、愛を象徴するという逸話から、愛すべき作品を探求し続ける行為が「虹を探す」即ち「虹捜索」などと言われ始めたのは、同人誌即売会の黎明期の事だったでしょうか。

 まあ、この話はたった今考えたホラ話ですが、本作に対する作者の愛は真実です。

 元来、二次創作物はいわゆるオープンプラットフォームとして、メジャーであればあるほど周知の事実という基礎知識が蔓延し、過度な説明を必要とせず、つまりは手を出しやすいものです。
 しかしながら、多大なリスクも背負います。
 コアなファンはオリジナルとの差異、違和感にビンビンと敏感なのです。
 容赦の無い評価がつきまとう事を覚悟しなくてはなりません。

「探偵はもう、死んでいる」
 こちらの作品について細かな説明は不要でしょう。
 アニメも絶賛放映中です。
 つまりは、世界観、作風、キャラの個性、言い回しといった文字作品での確定事項以上に、ファンの中でビジュアルと声、このイメージが明確になっているのです。
 ハードルが更に上がりました。

 本作は「たんもし」ファンにどの様に受け入れられたのでしょうか。
 もちろん、創作は自由です。
 受け入れられる必要なんてありません。

 そう思いつつも、私は本作を読んで、キャラの声が聴こえてきました。
 違和感があればきっと声は聴こえない。

 その時点で、少なくとも私の中で、新しい「たんもし」の世界が広がったのは事実なのです。

 作者様の探す虹が確かに見えた瞬間でした。