元魔王子は、ぐうたら魔王を倒したい。

歴代最強と謳われた先代魔王が、年齢を理由として魔王の座から退いた。
彼にはバアルという優秀な息子がおり、魔界の民もバアル自身も、当然彼が魔王を継ぐものだと思っていた。
しかし、実際に魔王に指名されたのは、どこの馬の骨とも知れない青年、ルキフグスだった。
ダウナー・ニート気質のルキフグスは、全く魔王らしくないどころか、魔王になってからも隙あらば怠けようとする。
そんなルキフグスが許せない元魔王子バアルは、ルキフグスを姑のごとく監視し、命を狙い、そしていつしかオカンのごとく生活を叩き直そうとするようになっていた。

歴代最強と謳われた先代魔王の息子と、当代魔王。
勤勉なる元魔王子と、怠惰なる魔王。
立場を奪った者と、奪われた者。
命を狙った者と、狙われた者。
これは、本来相容れないはずのふたりが…続きを読む