元魔王子は、ぐうたら魔王を倒したい。
宮代魔祇梨
プロローグ
「──我は、遠からず旅に出る」
低く、そして
「我はもう老いた。
老いてなお衰えというものを感じさせない絶対的な覇者の声は、しかし自らの滅びを予告し、あまつさえ自ら王の座を退く旨を宣言してみせた。
「ふっ……」
傍に控えていた若い男が、
「我の後継者たる新たなる魔王、その名は──」
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