ハロウィン幕間 11月5日はハロウィンです((圧
「ねこみみ良し…尻尾よし…黒のドレスにかぼちゃのバッグ。……仮装完了です!!」
今日は年に一度のハロウィンの日。ハロウィンの日は仮装をして、秋の収穫をお祝いしたり、ご先祖さまの霊を迎えたり、「なんかいろいろする日」のようです。
しかし今日はフレッドと迎える初めてのハロウィン。張り切ったこの仮装も、アベルから聞きかじった知識をもとに、こっそり用意したもの。
「もし仮装をしているのが村で私だけだったらどうしましょう……?」
だから胸の中に満たされたワクワクの中に、一抹の不安が影を落とします。
「ぅぅ〜……」
部屋のドアの前でしゃがみ込んで悶えていると、向かいにあるフレッドの部屋から微かに声が聞こえてきました。
なんだかよく聞こえないものの、もうすぐフレッドも部屋から出てくる様子。後から下りるのもなんだか恥ずかしいので先に一階に下りてしまおうと立ち上がり、ドアを開けます。
「——ぁ」
「——ぇ」
ちょうど向かいの部屋から出てきたフレッドと鉢合わせしてしまいました。
フレッドは黒のトレンチコートに、オレンジのアクセントが入ったハロウィンカラー。前を開けたコートの中は白のシャツで、ハロウィンじゃなくてもさほど違和感のなさそうな落ち着いた装いです。
そんな彼は、一瞬の硬直から抜け出し、恥ずかしげに頭に手をやります。
「……その、可愛いよ、仮装」
あっこれヒロインって私じゃなくてフレッドなのでは……?
なぜ私は何も言わずに突っ立っているかといえばその理由は——
「——えっ!?かわっ!?かっこぃ……、——!?!?」
処理落ち。予期せず同時に開いたドアへの驚愕、普段はシンプルな装いのフレッドが身に
そのあたりでオーバーヒートしかけていた思考回路が、フレッドからの追い討ちで焼き切れてしまいました。
なんででしょう。なんでだろうな。なんでせう?
なんだか目が回ってきました。
「……っと、とりあえず!私は下でゆっくり待ってますから!フレッドはごゆっくりしててください!!」
逃げるように階段を駆け下りるものの、これではなんだか感じが悪いような気がしてきました。
角を曲がる間際に振り返って、
「お洋服、似合ってますよ!」
階段を降りきると、力が抜けてしゃがみ込んでしまいます。
「???」
——顔が熱いような気がします。
火照った頭を冷やそうと頭に手をやるものの、わしゃわしゃしてはせっかくセットした髪を乱してしまうことに気づいて、頭を抱えるだけに留めました。
「ぅ——っ!」
悶えて声を上げたくなるお年頃。ソフィアの煩悩も、今はそうして方をつけましょう。
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〈オマケ〉
ソ「お洋服、似合ってますよ!」
フ「っ!!?」
ア「……俺のこと目に入ってなかったな、ありゃ」
フ(しゃがみ込んで弱々しい声)「……ずるいな、ソフィアは」
ア(ニヤッと笑って)「何が?」
フ「……、……なんだろう?」(ハッとした様子で)
2人揃って超鈍感。これには流石のアベルも苦笑い。
潤、ネコミミヒロイン枠、こっちにいたよ!(「〈君〉と〈私〉のラブコメ的日常」ハロウィン番外編参照)
何でも屋と聖女様 初見 皐 @phoenixhushityo
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