第9話友達とゲームで遊ぶとこうなる③

 最初の一戦は俺の勝利となったが、しかしその後いろいろあって、一位になったりその座を奪われたりして気づいたら最終レース。

 ポイントはなんと、二ポイント差で、俺が一位で凪が二位だ。

 このまま行けば、まず間違いなく俺が優勝となるだろう。


「凪。俺、もうゴールしてもいいかな」

「ウザいよ梓川」


 軽口を叩きつつ――あれ、俺罵られてない?――最後のカウントダウンが始まった。

 俺はこのまま突っ走ればいい。このポイント差は俺が下に落ちなければ――それこそ五位とかに落ちなければ確実だ。

 着実に一位を狙っていこう。

 気がかりになるのはNPCだが、彼女もきっとそう思っているだろう。


 手の平にじぃんと手汗が滲んでいくのが分かる。

 よし、頑張るか。

 そう思ったところで、ふと凪がこちらを向いた。


「ねぇ梓川。この勝負、負けたほうが勝ったほうの言うことをなんでも聞くってことにしない?」

 

 なるほど。勝者には褒美をということか。

 何でも言うことを聞くってのは怖いところがあるけど、まぁ別に、いいんじゃないか?

 今すぐ死ねコラとは流石に言われないだろうし。


 俺は頷く。


「さて、やるか」

「絶対負けないよ――ふふっ」

「お?ふーん。俺が一位だけどね」

「さて、どうだろ?」


 何やら怪しい笑みを浮かべている彼女は気になるが、しかしここは戦場。

 集中しないと負けるのは俺である。


 コントローラをしっかり握りしめ、画面を見つめる。

 相変わらずのクソデカカウントダウンを見て、二のところでボタンを押し、一気に集中力を高める。


 よし、勝つぞ。

 

 そう意気込んだ瞬間だった。


 隣にいた凪が、先ほどよりも近い位置にいる。

 いや、こちらに近づいてきたのが視界の端に映る。

 意識を向けないようにするが、しかしそう考えているだけで集中は乱されるものである。


 一という数字が見え車が走り出した瞬間、俺の顔の側面に凪が顔を寄せてきた。

 相変わらず綺麗な顔だ。しかし今は表情が妙に妖艶さを醸し出していた。


 何か、来る? 

 何となく、自然と俺はそう思った。彼女との毎日の経験が、彼女が何かをしようとしているのではないかという警告を鳴らす。


 ふいに、耳に彼女の息がかかり、心なしか甘い匂いが鼻腔を擽った。


「ねぇ梓川――エッチ、しよ?」

「んぐっ」


 ゾワゾワという快とも不快ともとれぬ何かが背中を走り、そして俺の体が震えた。

  

 え、聞き間違いじゃあないよな。

 こんな時にいきなり何を言っているんだろうか、コイツは。


 その不可思議な言動に、一瞬で頭の中が凪一色に染まる。

 あるいはこれが狙いなのか。


 しかしこれ、なんとか正気を取り戻さないとやばいぞ。いろんな意味で。

 気を引き締めるためにふぅと一度息を漏らす。

 完全に気を抜いていたそんな俺に、追撃が来る。


「んっ」


 股間に、違和感。

 いいやこれは、快感。


「な、何をっ、して、る?」


 そう問いかけるも、彼女は何も言わない。

 一瞬凪をみれば、彼女は俺の股間を足で刺激しながらしっかりと画面を見て、操作していた。


 こ、こいつ。

 直接妨害を加え自分は悠々と走ってやがる。汚ねぇ!なんて汚なさ!!

 ふにふにと股間を踏む足の感触を頭の片隅に追いやりつつ、俺も気を引き締めコントローラーを握り直す。

 

 しかしまた追撃があった。

 再度耳元に甘い息がかかり、背筋にゾクゾクしたものが走る。


「気持ちい?うちの足でいっぱい気持ちよくなっていいよ?」

 

 それと同時に俺の股間への刺激が増加する。

 しっかりと指を使って挟み込み、どこで覚えたんだそんなのってくらいのテクニックがあった。


「くっ。お前……」


 いや、これはテクニックなどではなく。

 所詮青春期の男の子。

 割と何をされても気持ちいいのだ。


 同級生の美少女JKに自分の部屋で足コキ、否応なく快感が押し寄せる。

 服の上からだとか関係ない。その快感を、俺は享受しなければならないのだ。


 しかし、それでも俺は負けない。

 コントローラーを強く握り正気を保つ。

 未だ股間の刺激は続いているが、出てしまうほどではない。

 ただ妙にこそばゆいような……焦らしのような感じがあり、ムラムラが止まらない。


 ここで意識をやってしまえば、発情してしまう。

 コントローラーをぶん投げ、彼女に襲い掛かるだろう。


「ふぅ、ふぅ」


 息を整えろ。しっかり空気を吸え梓川伊織。

 

 彼女は今二位を走っていて、一位との差はほとんどない。

 それに比べ俺はどうだろう。十位を走っていて一位と歴然とした差が生まれている。


 くっ、でもやばい。ムラムラが止まらない。

 今すぐ彼女を押し倒してその大きなお尻に腰を叩きつけて溺れるほどの唾液の交換をしたい、とそんな欲望が生まれては消えずに頭の端っこにこびり付いていつでも出れるのを待っている。


 これ以上は不味い。

 完全に負けてしまう。

 同級生の美少女JKに足コキされて負けてしまう。

 マニオカートでも負けて、男としても負けてしまう。


 しかしそうこうしているうちにファイナルラップ。ラスト一周である。

 凪は一位を走っており、差が近づいているが俺は四位だ。


 くそっ、どうだこれは。このまま前へ前へといけばまだあるのか?

 一位を取らないとっ!二位じゃ、ダメなんです。


 最後の力を振り絞って必死にコントローラーを操作する。

 がんばれ俺。負けるな俺。

 快楽なんかに負けるんじゃない。


 そしてだんだんと彼女との距離が迫り、


「ねぇ、梓川」


 ふと三度俺の耳元に凪の口が。しかし視線はちゃんと画面を見ている。

 俺は来るであろう衝撃に歯を食いしばって耐える。

 大丈夫だ。分かっていれば耐えられないほどじゃない。


 彼女の口が近づいてきて、


「――れろっ、んちゅぅ、じゅりゅ……ちゅぱっ」


 耳をなめられた。

 咥えられた。

 しゃぶられた。


「…………」


 もうダメだな。

 勝負とかどうでもいいわこんなの。


「え、梓川っ!?」


 俺はコントローラーを手放し、彼女の手からも叩き落す。

 中腰になり彼女をお姫様抱っこ持ち上げた後、ベッドに優しく降ろした。


「あ、あれ、梓川?なんか、か顔怖いよ?……笑って?」


 そういわれて俺は笑う。


「凪、許さないよ。うん、絶対に許さねぇ」

「やばいって目が!獲物を狩るような眼をしてるよ……う、うちここで死んじゃうの?まだ死にたくない」


 死にはしないさ。全然大丈夫。

 

 ただ、死んじゃうくらい気持ちよくなろう。


「ちゃんと受け止めろよ?」

「んっ。あずさ、がわっ……んちゅ、はむっ……」


 俺は凪の唇に吸い付き、激しく舌を絡めた。

 びくりと一瞬震えた凪だったが、すぐに自分の舌を絡め求めてきた。


 彼女の柔らかい舌を感じる。

 唾液が甘くて、ただそれに吸い付くことしかできない。

 このまま溶け合ってしまえるようなキス。


 いや、もうドロドロに溶けていた。

 俺も、彼女も。


 しかし許さない。許されない。

 勝負なんてどうでもいいのだ。

 マニオカートなんてどうでもいいし、不正をしたのもどうでもいい。


 ただムラムラがよくない。

 ここまで俺をムラムラさせた凪が悪い。

 勝負の最中に足コキをしてくるやるがあるか。全く以てよくない。


 彼女にはお仕置きが必要なのだ。

 俺のこの高ぶった感情、情欲は彼女のせいである。ならば彼女がこれを静めるべきだ。


 俺は自分のズボンを手にかけ、大きく膨らんだモノを解き放つ。

 途中で引っかかったが無理やり引きずり降ろした。


 凪の目が俺の反り返ったソレに釘付けになっているのが分かる。

 その熱い視線さえも興奮材料となり硬度がマシていく。


 唇を離した時の彼女の瞳は、何かを期待するように潤んでいた。


「あっ……すごいおっきぃ。ね、ねぇ、して?いっぱいしてほしい」


 あれ、もしかして凪、


「……もしかして自分でやってて、自分で興奮してた?」

「あ、あはは。実は……。ねぇ梓川、うち、もうびしょびしょだから……いっぱい、して?」


 もとよりそのつもりである。

 俺は上目遣いでおねだりする彼女のシャツをブラごとはぎ取った。

 そして空気にさらされたピンと立つ薄桃色のソレを、コリコリと弄った後にグイッと抓る。


「あっ、あっ……んんあッ。やばい、いつもよりすごく興奮してて……すごい気持ちいぃ……あんッ」


 俺の理性を溶かす甘美な喘ぎと共に、彼女は股をスリスリとすり合わせる。

 彼女の言う通りそこはもう彼女の体液でびしょ濡れになっているのであろう。


 俺は生唾を飲み、凪のパンツに手を掛けた。



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俺と彼女達とエッチと高校生活と、そしてアオハル 将門八季 @raikuv

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