吐き気がするほど美しい

この作品には多分にグロテスクな表現が含まれています。そこには単なる生理的嫌悪感だけでなく、計算しつくされた心理的な気持ち悪さが潜んでいます。少女、夏、海といった「青春」の代名詞とでも言うべきものを完膚なきまでに蹂躙しつくすその手腕には脱帽します。
美しいものを美しく描くのではなく、目をそむけたくなるほど悍ましいものを直視することで初めて見えてくる美しさもあるのだとこの作品は教えてくれます。