この作品には多分にグロテスクな表現が含まれています。そこには単なる生理的嫌悪感だけでなく、計算しつくされた心理的な気持ち悪さが潜んでいます。少女、夏、海といった「青春」の代名詞とでも言うべきものを完膚なきまでに蹂躙しつくすその手腕には脱帽します。美しいものを美しく描くのではなく、目をそむけたくなるほど悍ましいものを直視することで初めて見えてくる美しさもあるのだとこの作品は教えてくれます。
自主企画『【第4回】三つのキーワードで小説を書いてみませんか【「海」、「毒」、「強欲」】』参加作品タグやセルフレイティングにご注意ください。決して良いと言える内容ではないからこその、少女の狂った強い思いがこれでもかと描かれておりました。周囲の描写が彼女の心を際立たせているようで、読むのが怖くもあり、次の文章が気になりもするお話でした。