地獄への道は、時として希望でも舗装される

 軽い語り口で始まりながら、結末はその真逆を行く容赦ないお話。この絶望感と悲しさが辛いので明るい感想を付け加えておくと、異形の化け物をドストレートに「グロテスク」と名付けるセンスが好きです。

 このギャップがあればあるほど、彼女が「みんなの期待を裏切れなかった」という苦悩が胸にずしんと来ます。
 家族(ファミリー)のみなさんも、実は彼女と同じで不信や疑念があったとしても、口に出すことが恐ろしかったのではなかったのではないか? 地獄への道は善意で舗装されているとは言いますが、時にそれは希望でも舗装されるのですね。

 すべての願いを叶えてくれる、都合の良い神さまなんていない。
 何でも願いを口にしていいのなら、人はなんだって好き勝手言う。
 そのこと自体は何も悪いことじゃなくて……でも、こうなってしまった。こうなってしまったお話なんですよね……。