ルビの暴力

 荒廃した都市で、危険な麻薬を根絶やしにせんと奮闘する音楽家、アキハルの戦いの物語。

 その他です。ジャンルの「詩・童話・その他」のうちの最後、「その他」の名に恥じないこの規格外っぷり。一応はサイバーパンクSF的なお話、ということになるのかもしれませんが、でもそういう真っ当な区分がどうでも良くなるくらいにはぶっ飛んでいます。すべてが。

 何がすごいってもう文章の勢い、特に怒涛のルビ芸です。
 どこにも正気が見当たらない、いわば文章の形をした異常性の塊。オリジナリティ、なんて言ってはかえって安っぽく受け取られてしまいそうですが、でもこの作品を噛み砕いて説明するのに、ただ「アキハル」と呼ぶ以外にどうしようもないところが強烈でした。なんだこれは……いや本当に何……? 夢……?

 さりとて、ただ滅茶苦茶にぶっ飛んでいるばかりではなく、しっかり物語があるのが素敵なところ。
 最後なんか本当にしんみりきたりして、その高低差っていうかギャップに見事にやられました。どうにも説明できないんですけど、とにかくパワーのある作品です。パワーこそパワー。

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