アキハル ～ song of memento days for lost you ～

《君臨》――アンストッパブル・モンスター

　殺人（キリング）強盗（スナッチ）、拉致監禁（ゲット＆ネンゴロ）、銃火器抗争（エーペックス）、放火（ボンファイヤリット）。

　この街ではその全てが日常茶飯事（エブリデイ）。

　受容（カモン・オーケー）できない奴から死んでゆく（ノット・ア・ライブ）。

　災魂（さいたま）県は最極北（ラスト・ノース）、太陽愚裏羅（サン・グリラ）自治区（じちく）。

　人間のクズの楽園（アンダーグラウンド）にして神に見捨てられた地（ソドム・アンド・ゴモラ）。

　災魂県知事戦争（バトル・オブ・サイタマウォー）に勝利し掴み取った自治権の栄光も今は昔（フェアリーテイル）。

　警視総監（ポリスカイザー）、自治会長（チェアーヘッズ）、最高裁判官（エグゼキューター）は麻薬組織（シンジケート）によって買収され三権分立が崩壊（オワコン）。

　待っていたのは暗黒世界（ディストピア）。

　港街（ゲットー）を歩くのは薬物中毒者（オーバードーザー）、ただのチンピラ（マザーファッ〇ー）、全裸中年男性（ネイキッド・ルナティッカー）。

　誰の眼にも希望は灯らず、ただ麻薬の夢（トリップ）に酔いしれるだけ。

　大麻、ヘロイン、LSD――あらゆる薬物が、適当な自販機で全て揃う（フルコンプリート）。

　倫理観（ロジカル）、道徳（モラル）、正義（パシフィスタ）。

　すべてが混乱（カオス）に犯された街に、真の男（トゥルー）が舞い降りる。

「やれやれ」

　彼は十二㎎の幸運（ルーシー・ストライク）を二本（ダブル）で取り出し、全集中の呼吸（コンセントレイシヨン）で一息に吸った（ブレス・ワン）。

　モウモウと煙を吐き出しながら十字架のように両手を広げる（ライク・ア・クロス）。

　右手には軽反動全自動掃射砲（インスタント・ガトリングガン）を掲（かか）げて。

　左手には超ド級最終弦楽鈍器（アルティメット・ヴァイオリン）「ドヴォルザーク」を掲（かか）げて。

　油断ならざる荘厳な歩調（ムーンウォーク）で巨大倉庫（ドーム）、忠臣蔵（ちゅうしんぐら）へ進んでゆく。

　彼は知っている。その巨大倉庫（ドーム）に、ある麻薬組織（シンジケート）の麻薬が大量に収められていることを。

　――ならば、成すべきことは一つ。

「薬物の無い世界（ザ・トゥルー・ワールド）を創り出すために（ビギニング・オブ・コスモス）、俺は戦う（シング・ア・ソング）」

　おお、聡賢なる読者の皆さまならすでにお気づきだろう！

　この男が一体何者で（フーダニット）、そしてこれから何を行おうとしているかを（エンドワイダニット）ッ！

「やれやれ。メランコリーだゼ」

　――彼の名はアキハル。

　Regendary（レジェンダリー） True（トゥルー） Popper（ポッパー）の名を恣（ほしいまま）にする、己が魂で立つ男（アンストッパブル・モンスター）である……！