宇宙人飛行士だって

男の子は空想の宇宙探検から帰ってリビングに向かう。


「すぐ行きます教官!」


子ども用の小さい帽子をかぶって階段を降りる。JAXAって刺繍のあるやつ。見学に行った時に買ってもらった。


「教官じゃないでしょ〜ハンバーグだよ。」


「え?ハンバーグ?やったー!」


ハンバーグには日の丸の旗が刺さっている。

男の子はハンバーグをパクパク食べる。ずっとJAXAの帽子は被りぱなっしだ。普段は食べないにんじんも全部食べた。今日は特別な日だから。


ご飯を食べてお皿を片付けてテレビをつける。


『皆さん見えますでしょうか。あのロケットが火星に向かう宇宙飛行士を乗せたH -3ロケットheavyです。まもなく打ち上げ時刻です。』


男の子はソファの隣に座る大きな肩に身を寄せる。拳をグッと強く握る。


『、、、5!4!3!2!1! エンジン点火リフトオフ!』


ロケットは白い煙を吐き爆音を轟かせながら重力に抗ってぐんぐん加速する。もうカメラには点にしか映らない。


「いってらっしゃい。お母さん。」



とある宇宙飛行士の事情 完

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とある宇宙飛行士の事情 土蛇 尚 @tutihebi_nao

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