(物語を)ただ食べ、(辛さで)泣き、(腹がよじれるほど)笑うがいい‼
- ★★★ Excellent!!!
読者諸兄姉の諸君は『チリビール』と呼ばれる酒を御存知だろうか。
ピルスナータイプのビールに『ハラペーニョ(青唐辛子)』をまるまる一本瓶の中に漬け込み、その辛味と香味成分を存分に抽出した激辛ビールである。
まだ未経験の諸君には、『チリビール』と本作を是非 楽しんでもらいたい。
本作の舞台は大食いが正式にオリンピック競技として認められている世界だ。
その中でも、激辛大食いにクローズアップしたものである。
これを聞いて読者諸兄姉の中には「激辛勝負だけにしぼって大丈夫か?」・「バリエーションが少ないんじゃないの?」等と心配される向きもあるかも知れない。
しかし心配は御無用。
作者のコミカルな筆致は、さも一辺倒になりがちな大食いバトルにこれでもかと笑いと驚きをトッピングしてくれている。
この作品は蘊蓄をもって説明するより呑んだ(読んだ)方が早い。
元気が足りない時、暗い思いを払拭したい時、この作品で只々笑ってみてはいかがだろうか。
早速チリビールを味見しよう。
今回のツマミはガーリックシュリンプ、ベストマッチは当然だろうな。
先ずは香りを堪能する。
「ん、香りからして辛そうではあるが、僅かな甘みも感じられる。
まあ、この程度だったらストレートでイケルだろ」
お次は味を堪能。
『ごくっ、ごくっ……』
「……っかっっっっっっっっらぁぁ⁈」
なんだこの尋常じゃない辛さは。
唇といわず口腔といわず、喉や胃の腑まで脅威にさらされている!
ガーリックシュリンプの助けもあり、ビール自体は何とか呑み下す事が叶った。
しかしまだ、ラスボスが残っている。
そう、辛さの元凶とも云える『ハラペーニョ』だ。
脳まで侵食するこの辛さに私は勝てるのか。
いや……勝たねばならない。
そこで私の取った手段は……
「毒を以て毒を制す!
激烈な辛味には激烈な苦味を!」
以前痛い目にあったミントオイルをハラペーニョにまぶすという禁術にチャレンジしてみる。
準備が完了し、私は意を決してミントオイルでコーティングされたハラペーニョを口に放り込んだ。
一思いに奥歯で噛み潰す。
『ぶっ……はあああああーーーーーーーーーーアアアアァァッ‼』
この後 鼻から勢い良く飛び出たハラペーニョを片付ける事になり、私には後悔の二文字しかなかった……。
※現在チリビールは輸入が停止されているらしく、入手が非常に困難です。
そこで、その辛さを想像するには本作が打って付けですよ♥
後、ミントオイルとの併用は異世界への扉が開く可能性がありますので、くれぐれも御注意を……。