社会人二人の、うぶでピュアで一途な恋。糖度高めです。

柿崎臣は、二十六歳の会社員。二十六ともなると恋愛経験の一つや二つあるわけですが、今のところそういったことには消極的。だけど、気になる人はいるのです。
その気になる人というのが、同じ会社に勤める朝比奈里桜。しかし彼女の場合、柿崎君に輪をかけて恋愛には消極的。というより、まだまだ恋を知る手前といった感じでしょうか。

そんな二人を主軸に話が進むわけですが、これではもちろん、テンポよく恋が進展するはずがありません。焦れったいほどにゆっくりで、手探りでお互いを知っていくもどかしさ。しかしそれがマイナスかというとそうではありません。むしろその焦れったさ、もどかしさがいいのです。

ふとしたことで距離が縮まる度に、相手のことを知る度に、自分の中の気持ちが揺れ動く。それがまるで幼き日の初恋かと思うくらいにピュアピュアで、読んでいるこっちまでドキドキが、そして読み進めるのが止まりません。

しかも、このメイン二人以外にも重要人物の恋が書かれるのですが、こちらもこちらで目が離せません。本当に結ばれるか、結ばれるとしたら誰と誰か? そういった意味のドキドキでは、メイン二人以上かも。

恋する楽しさ。好きな人がいるという幸せを、これでもかというくらいに真っ直ぐに書かれた恋物語です。

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