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学校には「大人しい」子がいる。わたしは「大人しい」子にはなれなかった。大人しい子は、休み時間にはしゃべる子がいて、遊ぶ子がいて、でも、授業で当てられると喋れないフリをするのだ。
「ーちゃん、答えられる?」
「じゃあ、
担任は何の気無しにわたしに当ててきて。
「【あつい】の意味は、あちちっていう熱いと、本とかの厚いっていう意味があると思います」
わたしが発言するときは、教室の誰も話さない。決まって誰かが「しゃべれるじゃん」と言って、周りの子供たちは笑って。
遊びの時に話して、授業で話さない花実ちゃんは許されるのに、なんでわたしは許されないの?
「大人しい」子と話す状況が反転したわたしには、味方は誰もいない。
なんて自分勝手なんだろう。花実ちゃんは。自分のことをかわいいとおもってる。
もう授業で発言するのはやめよう。そうしたら、普通の子になれるんだから。
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