祭笛が予感を連れてくる。

 不妊治療の末、主人公の女性は離婚を決意した。
 実家に戻った女性は、母の勧めで神輿が有名な祭りへと繰り出す。昔の服に着替え、髪を結うと、幼かった頃の自分に戻った気がした。祭りは人で溢れかえっていた。
 神輿を担ぐ人々。それを見るために集まった人々。そして祭囃子を奏でる人々。そんな祭囃子の中に、私はある人を探してしまう。囃子の中で笛を吹く彼だ。
 しかし時間とは残酷なことに、少女だった主人公は毎年彼を探していたのに、見つからなくなっていた。もうそれは過去の話し。
 ところが、主人公の前に、意外な人物が現れて……?

 祭囃子の情景が浮かぶ、素敵な作品でした。

 是非、御一読下さい。

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