耽美的で蠱惑的な闇を覗き込む。

ゾッとする程に耽美的で退廃的。
息が詰まるほどに妖艶な筆致で描き出される、底知れぬ闇と恐怖。この作品はまさにその一言に尽きるのだが、決して単純なものではない。丁寧な言葉で紡ぎ出された端正な文体は、幾重にも折り畳まれた懐紙のように、物語りの中に幾つもの襞を作る。
一つひとつに怪異の名前が冠された短編は、それ自体が妖の様であり、それらは只々、美しく、妖艶で蠱惑的で。

時折、無性に覗き込みたくなる。

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