それは、世界を救うために音楽を取り戻す旅をする物語

 ある世界に、どんな願いも叶えてくれる不思議な唄を叶える楽器がありました。

 世界征服を目論んで楽器を持ち去った一人の魔術師は、唄の力によって強大な魔力を手に入れ、世界を魔物が徘徊する暗黒の世界へと作り変えてしまいました。

 それだけに留まらず、魔術師は楽器から唄を奪い取り、楽器が二度と唄を奏でることができなくなるようにしてしまいました。

 魔術師は、楽器を取り戻しに来た人間が唄と楽器の力を使って自分の存在を脅かすことを恐れたのです。

 奪われた唄は数多の『音の欠片』に分解され、魔術師の配下の魔物たちに与えられました。それによって、魔物はより恐ろしくより凶悪な存在に進化してしまいました。

 そして、唄を奪われてしまった楽器は、その日以来、音を奏でることはなくなってしまいました。



 その魔術師を倒して唄と楽器を取り戻すために、相棒の少年と共に旅をする若き魔術師の少女がいました。

 魔物たちを討ち取り、取り戻した『音の欠片』を携えて──長い旅路の果てに、遂に少女は悪の魔術師が隠れ住む城に辿り着きました。

 蒼く輝く星々の下、長らく開かれることのなかった門扉を前に、少女は自身に誓います。



 決して、諦めない。魔術師を倒して唄と楽器を取り戻すため、自分は此処に踏みとどまり続けるのだ、と──



[ユウリ・シオン著 『叶奏神器カプリース』より抜粋]

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幻灯書庫の守人【改稿版】 高柳神羅 @blood5

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