EX-2

「おつかれ」

 リアルワールドゲーム部が去って少し後、弥夜が生徒会室に帰ってきた。

 手には紙の束を持ち、それが全て入力すべき新入部員名簿だと思うと少しだけ気が重くなる。

「弥夜もお疲れ様、回収ありがとう」

「どういたしまして、全部活動の名簿回収終わったよ」

 様々な部活に加入し、校内に知り合いの多い弥夜だからこその手際、回収をお願いしてよかった。

「東雲と他の生徒会も部活終わったら手伝いに来るってさ」

「そう、助かるわ」

 予め入力している分があるとは言え、新入生全員がちゃんと部活に加入したかを確認する作業はやはり骨が折れる。

「ところで、あの子達どうなった?」

「認可したわ」

「ふーん」

 なにか言いたげな笑みを弥夜は浮かべる。

「なに?」

「計画通りってやつ?」

「なんの話かしら?」

「じゃないと、仮でも許可なんか出さないでしょ」

「そうかしら、私を説得できるなら仮許可程度は出るんじゃない?」

「それが難関って話、実際の所、どうだったの?」

「ああいう部活動があってもいいとは思っていたわ」

「ほらね」

 正鵠を得たと弥夜は笑う。

「あってもいいとは思っていたけれど、それが部活をしない為の言い訳のようなモノになることを懸念もしていたわ」

「その点じゃ、あの子達は大丈夫でしょ」

「そうね。予想した形ではなかったけれど、努力は見られたわ」

「ホント、美紀は素直じゃないんだから」

 弥夜に比べれば自分は素直な性格をしている。

 その反論には意味がないので言わないけれど。

「それはそうと、弥夜、あなた日誌のこと彼らに話したわね」

「あっ、気付いたんだ、やるなぁ」

「なに感心してるの、おかげで大変だったんだから」

「まぁまぁ、楽しかったでしょ」

 悪気なく笑う弥夜に、私は呆れながら頷いた。 

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リアルワールドゲーム部をつくろう 落葉沙夢 @emuya-s

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