エピローグ

エピローグ 私達は祓い屋です

祓い屋。それは迷える幽霊や悪い妖に立ち向かう霊能者で、怪奇現象のエキスパート。

今日はクリスマスイブですが、私達にはそんなもの関係ありません。終業式が終わって冬休みに入ったとたん、休む間もなくお仕事です。

日が落ちて、雪がちらつく町の中。私は葉月君と共に、悪霊を路地裏に追い詰めます。

「トモ、そっちに行ったよ」

「了解です。逃がしませんよ……滅!」

「ぎゃあああああっ!」

悲鳴をあげて倒れたのは、太った男性の悪霊。町で悪さをしている霊がいるから何とかしてほしいという依頼を受け、私達で祓いに来たのですが。

「くそー、クリスマスで浮かれているカップルを、俺の呪いで破局させようと思ったのにーっ! リア充爆発しろーっ!」

……説明しましょう。

どうやら彼は生前、ぜんっぜん女の子にモテなくて。その妬みからカップルを見かけてはポルターガイストを起こして、怖がらせていたのです。

まったく、迷惑な悪霊もいたものですね。モテなかったもの納得ですよ。

「大したこと無さそうだし、さっさと祓っちゃおうか。せっかくのクリスマスなんだから、早く終わらせてケーキ食べたい。買って帰って、一緒に食べよう」

「もう、仕事中に何言ってるんですか。早く終わらせたいのなら無駄口叩いてないで、浄化させますよ」

そして買うなら、チョコレートケーキがいいです。

そんな事を考えながら、私も葉月君もとどめを刺すべく手をかざします。

相手も弱っていることですし、これで仕留められるはず……だったのですが。

「一緒にケーキを食べるだと―⁉ お前達も俺をバカにするのか、このカップルめー!」

へ? カ、カカカカップル? 私と葉月君が⁉

あ、いけない。悪霊の言葉で動揺して、手にためていた光が四散してしまいました。

隣に目をやると葉月君もビックリしたみたいで、同じように術を失敗しています。

「違います違います違いまーす! 葉月君とカップルだなんて、そんな事は絶っっっ対にあり得ません! はっ、もしかしてこれは、私達を動揺させようという作戦? 精神攻撃ですか⁉ 侮っていましたけど彼、意外と頭がいいのかも」

「たぶん違うと思うな。そして俺は、トモの精神攻撃の方がキツかった」

ガクンと肩を落とす葉月君。え、私は精神攻撃なんてしていませんけど?

えー、コホン。とりあえず気を取り直してもう、一度浄化させましょう。

葉月君、今度はちゃんと決めますよ。


「迷う者、荒ぶる魂、鎮まりたまえ――」

「天に星、土に命、還りたまえ――」


クリスマスだって休み無し。学業との両立も大変ですけど、迷える霊あらばどこへでも駆け付けます。

だって私達は、祓い屋ですから。

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ハライヤ! 無月弟(無月蒼) @mutukitukuyomi

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