文章と構成に優れた歴史小説

 いま、私も歴史小説を書いているのですが、文章がほんとうに勉強になります。
 どれくらい勉強になるのかというと、作品世界に入り込むのに、じゃまになるくらい(笑)。
 なるほど、そう書けばいいのか、(自分の)小説のあそこを直さないと、などと思いながら、毎エピソードをたのしく読んでいます。

 歴史小説を書く苦しさのひとつに、「結果を読み手が知っている」というものがあります。
 毛利元就が若い頃のことを知っている読み手は少ないでしょうが、「信長の野望」における大国毛利を知らない人は稀でしょう。
 若い頃の元就が苦労している姿を描いても、「でも、結局、うまく行くんでしょう?」と思われながら書く。これはなかなか辛いことです。

 そこで、書き手ができること、やらなければならないことは、苦難を乗り越える、成功する「プロセス」を巧みに書くことです。
 結果(オチ)ではなく、その過程を楽しませる必要があります。

 そして、それに必要なのは、歴史的な知識よりも、文章と構成の力だと思います。
 YouTubeの歴史もので、どの動画が人気なのかを調べてみてください。
 だれも知らないことを教えてくれる、歴史に造詣が深い方の動画ではありません。
 観やすくて、理解しやすくて、楽しい動画です。
 これを小説に置き換えれば、「文章と構成に優れた作品」になると思います。
 そして、この作品は、文章と構成に優れている小説だと、私は評価しています。

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