抜け殻

音澤 煙管

ワガジンセイニクイナシ




特に、気にしていた訳でもない。

そんなに、深い想いだった訳でもない。

黙って居ても、夜空を眺めて居ても、

時間は過ぎ去って今が在る。


人の心は滑稽で、先には見えないものを常に欲しがる生き物だ。

後に残した時間を想う時、今在る自身の後悔が先に立つ。

費やした時間は、自身の為ではないのなら尚更滑稽だ。


たかが人生、されど人間。

想いのほか、目を閉じた時に鮮明に現れる。

そのまま、深い眠りの中に入れば現実から逃げられる。

本当の、心の奥底に目覚める時となる。

我が胸中に首傾げる度、過去の想いが溢れ出す。

回想から現実へと、願い虚しく動き出す。


心に想いが溢れると、その感情は止められない。

それも、時間と想いが平行線に続いた時。


深い眠りと、深い想い。

浅い眠りと、消したい想い。

後者を生きようとすると、自身を見失う事になるだろう。

あの日から、こうして生きてきた。

自覚し目覚めてから、

今在る自身が抜け殻となる……




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抜け殻 音澤 煙管 @vrymtl

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