その花を受け取ってはいけない。だってその花の花言葉は――。

 花にはそれぞれ、花言葉がある。いい意味を持つ花もあれば、悪い意味を持つ花もある。この作品名は『畏怖の花言葉』である。「畏怖」は「If」にも通じると思う。そんな、「もしも」の短編集だ。それも、極上に恐ろしい物ばかりを、まるで花束に仕立てたような、不穏で残酷なものばかりだ。
 特に小生が恐怖を感じたのは、先生が生徒の作文を読む形式の物語群だった。ある少女は、両親が恋しい余りに、生まれたばかりの赤ん坊を、ある場所に隠したことを、作文に書いた。そこで添えられていた花言葉は……。その他にも、この先生が担任を勤めるクラスには、カウンセリングを受けた方がいいと思われる生徒が、複数いた。つまり、幼いからこその、無邪気さと狂気がそこにはあるのだ。そしてその狂気と花言葉が、一対となって、物語を構成している。

 話数が多いが、1話千字程度なので、するする読めてしまいます。怖いもの見たさのような部分をくすぐられ、一気読みしてしまいました。
 花言葉を知ると同時に、贈る時に気を付けるべきことも書いてあり、実用的な機能も兼ね備えています。

 是非、御一読下さい。

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