戦国転生モノの傑作

戦国転生モノの傑作といえば、某琵琶湖の作品が思い浮かぶ方が多いかと思いますが、個人的には本作はそれに比肩しうる出来だという感想を持っております。

かの作品と比べて劣っている点は、人物描写でしょうか。

といっても作中ではまだ超有名な大名家とはまだあまり接していませんのでこれからだとも思いますが、キャラクターの匂い立つようなリアルさ、造形の肉付けや人間関係の描写等においては一歩譲る形になっていると思います。ここは今後に期待したいところです。

逆にかの作品より優れている点は、内政の精緻な描写です。

かの作品は転生者の利点（内政チート）を活かすのは序盤も序盤くらいで、以後は信長や秀吉の歩んだ道を辿る形だったかと思いますが、本作は「内政チートを理詰めで戦国時代に落とし込むにはどう描写するか」に挑戦した意欲作の面もあり、読んでいてなるほどと膝を打つこともよくあります。

参考資料も一部公開されており、作中で毎年登場人物や勢力について細かく解説されていることもあって、説得力が段違いな点も個人的に気に入っている点です。

小氷期とも呼ばれる戦国時代で、なおかつ陸奥という食糧事情が極めて厳しい土地に生まれながら、知識を活かして盛り返し、周りをあっと言わせて発展していく様は見ていて小気味よいです。

戦国転生好きならば外せない作品のひとつだと思います。
ご興味があれば是非。