転生を望んだら戦国時代の遠野に来ました
海胆の人
転生~文亀元年(1501年)
第一話 転生しました
なんだぁ?ここは……
「貴方は死んだのです。ベビーカーを助けようと飛び込んだところ、トラックに轢かれたのです」
そうか、俺は死んだのか。まだ結婚もしてなかったのにな。
「貴方は事故で死ぬはずだった赤ん坊を助けた。その行動に神様がきまぐれで感銘され、天界で貴方を転生させられないか稟議されました。結果ご希望の世界があればそこに転生させるとのことです」
神様の気まぐれとはいえ転生か……欧州チックな世界は米も味噌も無くて嫌だな。でも折角なら天下を目指したいし……戦国時代の日本とかに生まれ変われたら良いな。
「希望を承りました。では、戦国時代の日本に転生させましょう。場所は適当になります。なお、ボーナスとして病気では死なない程度の加護を授けます。また、幾人か転生のものを送り込みますので、死なぬよう、ほどほどに頑張ってください」
◇
ここはどこだ?視界がぼんやりする。腹が減ったと思って声を出そうにも上手く声が出ない。何かが押し当てられそしてやがて口と腹は満たされ眠くなる……。
一カ月ほどたっただろうかようやく視界がはっきりしてくる。周りには大きな人間が何人か居る。ああ赤ん坊に転生したのか……。床は板張りで背中が痛い。ふとんは無いようだ。部屋は広いようでどうやら有力者の家に転生できたらしい。神様ありがとう。
◇
しばらくたち、ようやく首が据わるようになったので二足歩行の練習を行う。まだ筋肉量がたりないので不安定だ。だがようやくまともな発語ができそうだ。
「か、か、さ、ま、……」
発声練習をしているが上手くしゃべれない。が、「あー」とか「だー」とかよりは大夫進歩したな。
「孫四郎よ!今一度母のことを呼んでくれぬか?」
「か、か、さま?」
「そうですよ。かか様ですよ。誰ぞ殿を呼んできてくれぬか」
「はっ!」
ドタドタっと大きな足音をさせていったかと思うとしばらくしてさらに大きな足音が部屋に飛び込んでくる。
「孫四郎! そなた言葉を話したと!?」
「ええ。それ孫四郎や、そなたの父上に挨拶するのじゃ」
「ち、ち、う、え?」
「おおーそうじゃ! 儂がそなたの父の守広(もりひろ)じゃ。まだ生まれて一年にも満たぬのにこれだけ話せるとは! きっと神童にちがいない!」
四半刻ほどののち、うとうとしてきたので解放された。疲れた。ここはどこの武将だ?
雪は積もっているがせいぜい10cmほど。がっつり凍って、氷柱が軒にぶら下がっているしとにかく寒い。うん。少なくとも日本海側では無いようだが寒い地域だというのはわかった。ふとんも暖かい衣類も無い。幸い病では死なないようだが、これでは凍死しかねないな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます