実力派作家のリレー小説にゲスト参加しても、同等以上の面白さを維持👯

 本作は元々、ゆうすけ様と薮坂様という、カクヨム界でも屈指の実力者二人による、ピンポンリレー形式のどこに出しても恥ずかしいほにゃらら小説です。
 相手が書いた物語を受けて、その続きを書いていくわけですから、難しさは単独で執筆する小説の比ではありません。
 しかも中身は変な態様の小説ですからね。ここに野々ちえ様が参加されると知ったときには戦慄しました。
 こんな小説に関わったら、野々ちえ様がよからぬ色に染められてしまう。
 喩えるなら、みんなが大好きな清純派の野々ちえお姉さんが、パンチパーマに長いスカート引きずって木刀背負ったスケバンちえ姐さんに変わってしまう。
 けれども、既に書かれてしまったものは、止めようがありません。読むしかないのです。

 結論から申し上げますと、野々ちえ様は変わらず野々ちえ様でありました。
 こんな特殊な背景の小説を引き継ぎ、三姉妹の容姿……というか、主に胸の記述やそれに関する一人一人の悩み・苦悩に焦点を当て、縞パン一丁の長姉やうさ耳ハイレグバニーちゃん姿の三女を描きつつも、野々ちえ様は野々ちえ様で有り続けたのです。
 ワセリンなどという、何に使うのか理解に苦しむ矢場杉レギュレーションもしっかりクリアして。
 おかえりなさいませ。野々ちえ様。よくぞ、あの変態小説から生還されました。

 本作の内容は、いつもの野々ちえ様であって、いつもの野々ちえ様ではありません。
 ……って、どっちなの?
 まあ、芸域を広げたと言えなくもないですが、野々ちえ様にはあまり極めて欲しくない芸でもあります。

 札付きの変態作家二人に交じっても、損なわない折り紙付きの面白さ、クオリティ。流石でございます。
 あっ! 出来れば、ゆうすけ様と薮坂様の描く第1話から読んで頂きたいですね。
 本作は第5話と第6話の間に相当します。