認知症の母親と真摯に向き合う慈悲深き女性のドキュメンタリー

最初に、難しい内容ではございません。まずはぜひお読みください。

人は誰しも老いていきます。
元気に老いる方もいれば、病に苦しんだり、不自由な身体に苦悩する方もいらっしゃいます。
その中で『認知症』は老いのひとつのかたちであり、多くの方が色々なかたちで付き合うことになるものです。
その付き合い方のひとつである『介護』のリアルを著者・この美のこさんはエッセイで綴っています。

介護を美化・賛美して描いているわけではありません。認知症を誇張して描いているわけでもありません。もちろん自己顕示欲をこじらせた内容でもありません。
この作品にあるのは、喜びも、不安も、苛立ちも、悲しみも、すべてがただただリアルなのです。
意思の疎通の難しさに苛立ち、疲労も蓄積していきます。でも施設に預けることに申し訳なく感じるこの美さん。ひとりでお母様を介護するその姿に、この美さんの深い慈愛・慈悲の心が伝わってきます。上っ面の綺麗事だけで介護はできないのです。

そして、時折訪れるお孫さんたちの存在に救われます。子どもたちの元気に、お母様もエネルギーをチャージできているようです。子どもの優しさと笑顔は、無限大のパワーがあることが分かります!

本作は、できれば若い方にお読みいただきたいです。皆様の親もいつかは老いていきます。その時になってから困らないように、できれば親御さんにも本作をご紹介いただき、将来どうしていくかを真剣に話し合うきっかけにしていただきたいと思います。

最後に、この美さんとお母様へたくさんの笑顔と幸せが訪れますよう、心よりお祈りしております。

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