仕舞い忘れたミニカー

子どもとの時間は、待ち焦がれたものであっても、悩みや後悔の連続に向き合ううち、瞬く間に過ぎ去ってしまう。あたかも、もがきながらトンネルを抜けた後で、今しがた通ってきた場所に煌めいていた無数の宝石を思い起こすかのように。そして人は、二度と還らぬ日々を思い、覗くことを許された想い出の路地に置かれたささやかな忘れ物を見て心を慰め、涙を流すのだ。
母として人間としての葛藤や希望、想い出を綴った、すべての親と子に贈る詩集。