地上の比翼連理
軽井 空気
第1話 青野 大地は走れない
「おいコラ、ちょっと足がはえーからって調子乗ってんじゃねーぞ。このチビ。」
校舎裏に呼び出されたと思ったらたっくんからそんな言葉が投げかけられた。
なんでそんなことで怒られなければいけないのか分からなかった。
「えぇ、聞いてんのかよコラ!髪なんか伸ばして、女かよ。」
たっくんは僕の髪を掴んで引っ張り上げた。
「やめてよ。痛いよ。」
「ははは、スポーツ特待生なんだろ。根性が足らないんじゃないか。ホレホレ。」
「痛い、やめて。やめてよ。」
「ははは、ほーれほーれ。」
ぼくが友だちのたっくんからこんな風に扱われたんは小学生5年生の時位だった。
たっくんからのこのような扱いは1度だけに留まらず、日に日にエスカレートしていった。
「ぎゃあああああああああああ。」
地面に赤い赤い斑点がいくつも付いた。
たっくんからの嫌がらせに何度付き合わされたか分からなくなていた時だった。
たっくんがカッターナイフを持ち出してボクの髪を切ると言い始めたのだった。
ぼくは抵抗した。
だって、髪はお母さんが誉めてくれた大切な――――
その抵抗がいけなかったのだろうか。
たっくんの持っていたカッターナイフが僕の足を斬りつけた。
「違う。違うぞ。俺のせいじゃない。お前が暴れるから。だからだから……」
騒ぎを聞きつけて先生がやって来た。
「うわ、うあわああああああああああああああああ。」
たっくんはその場から逃げ出していった。
先生たちに僕は病院へと連れていかれた。
幸いにも傷跡が残ることはないそうだ。
その後僕は先生から事情を聴かれてこれまでのいきさつを話した。
どうやら僕はいじめにあっていたらしい。
どうして。
たっくんとは友達だったのに、どうしいていじめられたの。
後で聞いた話だがどうやらたっくんが好きな女の子が僕のことを好きだたらしく、その八つ当たりだったらしい。
らしいというのも本人から聞いた話じゃないから。
そのあとたっくんは学校に来なくなったから。
足の傷は残ることはなかった。
だけど心には大きな傷跡が残った。
その後僕は走れなくなった。
陸上短距離走のスポーツ特待生だった僕、「
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