まだ読了していない作品のレビューを書くことは基本的にしないのですが、全部読み終わるまでも無く☆三つです。(勿論、今後も引き続き少しずつ読ませて頂きますが)
この作品に出合うのがもう少し早ければ良かった!
せめて創作を始める前に読んでいれば……心からそう思います。
小説、あるいは何らかの文章を書く時に、自分がはたして正しい日本語が書けているのか? 不安になった経験はどなたにでもあるかと思いますが、本作には多くの間違えやすい日本語の事例をあげられており、ジャンルを問わず誰でも参考になるかと思います。
いや、執筆活動に限らず、日常会話でもそうですね。
こちらを読んでいれば、何気ない会話でも、恥ずかしい間違えをしないで済むかもしれません。
あ、私のレビュー自体が言葉遣いの恥ずかし間違えをしている可能性はありますが、それは私個人の理解力の低さが原因なので例外ということにしておいてください(苦笑)
また、辞書によっては「正しい」とするものもあれば「誤り」とするものもあると、ご指摘なさっている様に、如何に日本語という言語が一筋縄でいかない言葉であるかという事が分かります。
それらに正面から向き合い、真摯に執筆するのは大変困難なことかと思いますが、著者様の並々ならぬ探求心に、僭越ながら共感させて頂く部分があります。
他にも、時折クイズ形式のお遊びもあって、読者を楽しませて下さりますし、質問に対しては、何と本文でお答えを下さる事があります。(ご質問は著者様の負担にならない程度にお願いします)
この姿勢は他作では中々見かけませんし、見習わせて頂きたいと思いました。
普段なにげなく使ってしまう単語やフレーズに潜む小さな落とし穴。本作は「これでいいのかな」と迷うような言葉遣いを取り上げ、その矛盾点や正しい使い方を指南してくれる上質な解説書です。
添削や校正の経験を持つ筆者ならではの細かなところにも行き渡る視線と、複数の辞書を駆使して研究したうえで述べられる見解の分かりやすさが何よりの魅力です。ひとつの言い回しを調べるのにどれぐらいの時間を要しただろうと想像するだけでも、筆者の言葉に対する真摯な思いが伝わります。
また、「これは間違っている」と戒めるような内容ではなく、あくまでも言葉を生きものと捉え、柔軟な姿勢で語られるところにも好感を持ちます。解説書でありながら、こうした柔らかみのある口調は読者にも安心感を与えてくれます。
書く人にとって非常に学ぶことの多い作品。自分の日本語にふと疑問を持った時、訪れてみてはいかがでしょうか。きっと発見があると思います。