第一話 「自然な姿であるがままに」

この県はある噂が立っていた。

六つの刻印が刻まれた黒い金属の柱に囲まれた祭壇があり、その祭壇に

「ペンダント」をはめ込むとこの県の世界線軸が変わり、パラレルワールドへと移行するらしい。そのパラレルワールドは無数にあり、六つの柱に石をはめ込むと時間も変えることが出来るというスグレモノ。

「ペンダント」は見つけなければならないが。その祭壇を先人達は「シャヲル」と名付けている。


氷宮 : ある程度古文書に書いてあったものを調べてみたら、この通りになったわ。

奈川 : 面白そうじゃない、行きましょうよ。

氷宮 : あんたパラレルワールド行って何したいのよ

奈川 : 特にない

氷宮 : ならいいよ、怖いし、何が起こるか分かんない

奈川 : そうね、そんなのおとぎ話に過ぎない。

奈川 : そうそう、晩飯なんだけど。

氷宮 : はい

奈川 : 汁とお魚とご飯と浅漬けでいい?

そうやった、料理できるんやこの人。

氷宮 : ありゃと


晩ご飯は炊きたての白米に、魚の身や貝が入ったあら汁、アユの塩焼き、浅漬けが出てきた。白米は安定で美味しいし、あら汁は具材たっぷりでおいしい、塩焼きはうまい、浅漬けは美味しい。

全部うまい


氷宮 : もう10時じゃない

奈川 : 明日なにかあるの?

氷宮 : 虫取りに行きたい

奈川 : 子供みたいで可愛いわね。

氷宮 : あんたもいくのよ

奈川 : 行けたら行く

氷宮 : 絶対行かないこいつ


他愛ない会話を済ませて、ひとまず床についた。


夜中の1時、窓付近で物音がした。

窓を覗き、下を見るとキラキラと光るペンダントを見つけた。


奈川 : あれって…


ペンダントを見つけたと共に見ては行けない何かを見た。

身長は2〜4mの全身黒色。蜘蛛のような見た目で、足が8本ある、舌が伸びる、目が無数にあるという明らかにこの世のものでは無いモノを直視し、焦った奈川はトイレへ駆け込む。


奈川 : うぐっ…うっ


過去のトラウマのせいか思わず吐いてしまった。

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パラレルソード @Kyoufu_no_minazoko

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