黒いモレスキンの男

女性限定マンションの管理人を勤める平野千鶴は退屈な毎日を送っている。女性限定マンションではあるが、いやそれ故か、首都圏近郊の住宅街の中にあり、マンションの周りには一軒家が多かった。
住民女性、および平野千鶴の一番の懸念事項。それは、マンションの正面にある一軒家が長いこと空き家であることだった。
千鶴のいる管理人室からはその空き家の二階窓を見ることができる。当然空き家にはカーテンなんてものはないので、室内がしっかり見える。
そんなある日、千鶴は空き家の二階、部屋の中に人影を確認する。
――黒いモレスキンを持った男。

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