【補足 一次選考は突破しても……⑤】 一次選考突破だけでは落選理由はつかめない
公募の結果から自分の実力を判断する。
そのためにまず、一次選考突破を目指す。一次選考を突破すれば、基本的な実力はあったと考えてもいいはずだ。あとは公募を主宰する出版社が求める作品にうまくハマるものが書けるまで応募を続けるだけ……。
そう考えている方も多いと思います。
実は私もそう思っていました。
一次選考でも二次選考でも、最終選考でも。落ちたならば結果は同じ。受賞するかしないかという意味では、まさにその通りです。
しかし、ここで考えたいのは『一次選考を突破すれば、公募を突破するための基本的な実力はあったと考えてもいいはずだ』という判断基準が正しいかどうかです。
公募生活を続けるのには膨大なエネルギーと精神力が必要です。公募を続けるならば、なるべく効率よく努力したいものです。
前回では募集要項上は字数制限のない公募でも、書籍化した場合の1冊分の分量を意識して書いた方がいい(なろう系や、完結させなくても違和感のない作品でない限り受賞は難しい)という考察をしました。
この創作論では既に『一次選考とは受賞(書籍化)の可能性のない作品を足切りすることだ』という仮定から、主に文章やキャラクター、ストーリーなどに問題のある作品を落とすことになるという考察をしています。また、ウェブ上の公募ではPVや読者評価だけの場合もあるため、それを例外として0次選考と規定しました。
しかし、一次選考通過に関しては、もうひとつ重要な選考基準があります。
今までに何度も触れた作品のアイディアです。
いわゆるなろう系の拾い上げでは、文章力やストーリーが一般の公募レベルよりも低い作品でも、設定などのアイディアにある程度の新しさがあってウェブ上の人気があれば書籍化されるようです。例えば現在なら『外れスキル』や『ざまあ』などの逆転要素が狙い目です。
また、ウェブ以外の公募でも、文章力やストーリーなどの基本的な力がイマイチでも、アイディアが面白いと思われる作品であれば一次選考を通過していることが多いように感じられます。(応募者の作品をカクヨムなどで読んだ感想です)
私はこのことから、アイディアさえ優れていれば文章力のない作品でも一般の公募で受賞する可能性があると考えました。受賞まで行かなくても、例えばそのネタを原作として使ってくれるとか……。
しかし実際には、公募から拾い上げられた作品が原作として書籍化している例はほとんどないことに気づきました。よく考えれば原作者としてアイディアを提供することを納得させ、利益配分を交渉するような面倒なコストを出版社が日常的に費やすはずがありません。
なろう系の拾い上げだけが特殊なのではないか。そう思い至った時、私はこの項目の最初の疑問にたどり着きました。
『一次選考を突破すれば、公募を突破するための基本的な実力はあったと考えてもいいはずだ』という判断基準が正しいかどうか。
アイディアが面白ければとりあえず一次選考を突破することができるが、文章力やキャラクター、ストーリーなどの力が足りなければその先には進めない。そう仮定すると、一次選考を突破しただけでは自分の実力が公募で通用するかどうかはまだ判断できないということになります。
だとすれば一次選考突破だけではなく、最低でも二次選考までは突破しないと自分の基本的な実力は判断できないのではないか。
自分には何が足りないのか。
小説を書く根本的な力か。斬新なアイディアか。
そこをしっかりと意識しないといけないと、自分でも改めて感じました。
公募の一次選考にどうして落ちるのか。あるいは、どうしたら通過できるのかをマジメに考えてみた。 千の風 @rekisizuki33
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