一気読みをしたくなるような物語

実に素晴らしい物語。一気読みするとその素晴らしさが伝わると思う。

まず何より、昨今の異世界転生や異世界転移のような、安易なチートというのが存在していない。作者様が書いている通り、レベルやスキルなども全く存在せず、確かに食感気味な方にとってこれほどまでに合う小説など存在しないだろう。

主人公の手の内にあるチートと言えば、その存在すら何かも分からぬ一枚の板と、それらで得られる様々な機能の結果のみ。それすらポイントなる何かしらを消費する事で使え、中々増えてはくれない。

そも、チートを使いたい時にポイントが足りずに使えないこともあるし、主人公は人間なので死ぬ時は死ぬし、怪我する時は相応の怪我をする。

こういう些細な描写などに、主人公から『一般人』という片鱗を感じ取れるのだ。それがまた主人公への共感を生み、自分と重ねてしまうような原因となっている。

そして世界観。これも実に素晴らしい。世界観が特に作り込まれている、としか言いようがない程に。ある程度読み進めていけばこの意味が分かるだろう。是非読んでみてほしい。

それからキャラクター1人1人の口調、性格、裏事情から何から何まで、それら全てが物語の節々に滲み出るような文章。これがまた味なのだ。

読めば読むほど味がして、このキャラクターはどのようなキャラクターなのだろうか?どのような過去を持ち、どのような性格をしているのか?など、全てのキャラクターがそういった期待を唆る。

とまぁ、ここまで書いてきたが、一番伝えたいのは初めに書いた通り。一気読みをすべき、という所。

物語として完成されているのだ。素人判断ではあるが、それでも完成していると、私はそう思ってしまう。ならばもう、一つの区切りであると感じるまで読み進めてみるべきだろう。区切りごとに主人公が活躍していくのも、見ていて飽きない。

是非、これを読んだ皆様にも読んでもらいたい。