天狗に拐われむ、幸福たるやいかばかり……

「目出度きことかな」

——聖人さえ、私に悦楽を仕込まなければ、情欲も知らず、人も憎まず、この世の不浄、煩悩に触れずに、純真なままに死ねたはずだ。
                (本文より)

法貴寺の見目麗しい稚児・義王丸は、生きながらの観音だった。
毎夜聖人の愛慾を一身に受け、甘んじてこまやかにまぐわい……。

清浄なる仏道を歩む中、義王丸は悦と醜に挟まれ、愛憎に心身震わせつつ、苦悩し葛藤する。
反対に下男・拾は、義王丸のことを観音の化身だと思って疑わず、純真に尊敬して慕っていた。

仏と欲の混在する日々に、義王丸はどちらの「愛」に傾くのか。
果たして、噂の天狗とやらは、一体誰を拐っていくのだろうか。

時代BLの最高傑作、ここに爆誕!
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