召喚勇者貰うスキルを間違えました

第7話魔王バットエンド☆

武器屋にて

「いらっしゃい」

「オヤジさん来たよ♪」

何回も繰り返すがヒヒイロカネのショートソードを受け取り森へ向かう…

ダンジョンが入れなくなったので森へレベル上げに行って帰るのをしばらく繰り返していた。

宿へ戻って寝る準備をしていると…

「勇者よ…お主旅に出る気は無いのか？」

「うわぁ！？ビックリした！誰？」

「ワシは魔王だ。旅をして魔王城へ攻めて来んのか？」

「魔王！？」

「うむ…魔王城へ攻めて来んのか？」

「魔王城って遠いじゃん…行きたくないなぁ…」

「貴様それでも勇者か！」

「勇者だけどこのお城から離れたくないってか言うか…ゴニョニョ」

「武器屋のオヤジか？」

「ギクッ」

「ヒヒイロカネまでプレゼントしたと言うのに嫌われたもんだ…」

美羽は赤くしていた顔をさらに真っ赤にして魔王の顔を掴んでアイアンクローで締め上げる…

「いたた…貴様魔王の顔を掴む奴は世界初だぞ？」

「あんたのせいでオヤジさんに恥ずかしいとこ見られたんだ！」

「クワッ！」

美羽は魔王の発した気で固まってしまう…

「だいたいオヤジには何回も縛られた姿見られてるだろうが！」

「なんで知って///////」

「勇者の事だからな。ワシは常に見ておる。」

「ぐあぁぁぁ…」

魔王は美羽の手を後ろへ回して…

「今回はこれをプレゼントしてやろう」

「ガムテープ？」

「ダクトテープだ！」

魔王はダクトテープの接着力が素晴らしい事などしばらく力説して…

「これはワシがダクトテープを模してミスリルを紙状に加工したものにアラクネの糸を貼り付けて作ったのだ」

「ハイハイ…で、まさかそれで縛るつもりじゃないでしょうね？」

「そのまさかだ」

魔王は美羽の手首から肘に向けてぐるぐるとダクトテープを巻き付けて行くとそのまま胸の上下にもぐるぐる巻き付けていく…

魔王が指を鳴らすと美羽は動けるようになったがダクトテープでぐるぐる巻きにされているので結局動けなかった。

「助けてー変態魔王に襲われるー」

美羽は叫んだが何も起らない。

「結界が張ってあるから無駄だ」

「くっそー」

美羽は地団駄踏んで悔しがる。

「話を戻すが魔王城へ攻めて来んのか？」

「変態魔王なんか倒しに行かない」

美羽は不貞腐れて横を向いてしまう…

「はぁ…では森のモンスターを少しづつ強くしていってダンジョンはクリアしたらリニューアル、最後はワシがボスになる。これ以上は譲れんぞ？」

「それってこのお城から離れなくて良いって事だよね？それなら倒しに行ってあげる」

「仲間も集められずに1人で魔王と戦う事になるが良いのか？」

「お城から離れなくて良いなら1人で魔王倒すよ！」

「グァッハッハ倒す宣言されてしもうたわ」

「倒しに行くからガムテープ剥がして？」

「ダクトテープと…」

「我が主」

美羽は声の主を見てギョッとした。美羽より小さい小学校低学年程度の少女だが両手は後ろへ回され皮の袋へ包まれてベルトで肘がくっつく位締め上げられている。足も同じく皮の袋に包まれてベルトで締め上げられている。アイマスクで目も覆われて何も見えないしベルトには全て鍵が掛かっており鍵が無ければ自由にはなれないと思った。

「お前か…もうそんな時刻か…」

「魔王！小さな子供になんて事するのよ！」

「ん？こやつの事か？小さな子ってお主も小学生ではないか？」

「高校生だよ！」

「ゴミ虫風情が魔王様になんたる口のききようか！」

「あなた手足が縛られててなんとも思わないの？」

「わらわには元より手足など存在せぬ」

「？？？」

「こやつは元々手足どころか目も無いので義手義足を取り付けておる。その代わりとてつもない魔力を持っているのだ。アイマスクは目のかわりだ」

「なんだそれ…手足付けてわざわざ縛るって…変態魔王」

「ワシは会議の時間だから帰る。変態呼ばわりされて癪だから口も塞いでやる！サラバ」

魔王は美羽の口にもテープを貼ると少女と共に消えていった。

「んんんー」

美羽はキャミソールとくまさんパンツと言う完全な寝間着だった。

美羽は手首を揉み合わせてみる。手首の皮が引き攣れる感覚があるだけでベッタリ貼り付いたテープは剥がれない。

(んんんー…無理か…)

「んんんー…あぁぁぁぁぁ…うおぉー…はぁはぁ…」

どんなに力を入れてもテープはビクともしない。

(縄抜けスキルがあれば…)

（注）縄ではなくダクトテープである。

しばらくもがいていたが全く剥がれる気配がなかった。

武器屋へ行ってみよう。もしかしたらまだオヤジさん居るかもしれない…

部屋を出ようとしたら手が届かない。

(うﾞぁﾞぁﾞぁﾞぁﾞドア開けられないー！)

しばらく手で開けようと苦戦していたが結局お行儀悪く足でドアを開けて武器屋まで寝間着で走る。

縛られていて靴も履けないので裸足のまま走っていく。足の裏が痛いが構わず走る。

人の会わないよう裏路地を駆け抜ける…

(痛ったぁ！)

釘のようなものを踏んずけてしまったが気にせず走る。武器屋へ転がり込みと…

「終わってますよ」

「んんんー！？」

「どうした！？」

オヤジはまだ店に居り美羽の口にベッタリ張り付いたテープを剥がしてくれたかなり無理をして剥がしたので口元は真っ赤になってしまう。経緯を説明すると水を持ってきて身体のテープも剥がしてくれた。

オヤジにマントと草履を借りて宿へ戻る。

ミスリルのテープはヒヒイロカネの剣と一緒に打ち直してオルハリコンの剣にしてもらえるから朝になったら武器屋へ行かなければ。

宿へ戻ると草履に少し血が付いていたがもう止まってるので大丈夫と思い寝ることにした。

数日後

目が覚めると身体が重く熱がある…

(お城の医者に診てもらおう)

医者に診てもらった後大臣から病状の説明があるらしい。変な病気にでもなっちゃった？

「勇者よ…お主は魔王より呪いを受けておる」

「はぁ！？呪い！？」

「お主の足より呪いが広がり全身に行き渡った時死んでしまう。早く魔王を倒すのだ！」

さらに数日後

ダンジョンに入れるようになったと聞いたうちは魔王を倒すためにリニューアルしたダンジョンに挑む。しかしダンジョンの途中で倒れてしまった。手足は痙攣し呼吸も満足に出来ない。ニーソックスで隠しているが右足の太腿まで呪われてしまった。うちの足は爪先から太腿まで紫色になって熱をもっている…

(呪いの進行がこんなに早いなんて…)

辛うじて意識はあるものの動けないでいると…

「勇者よ！生きているか？」

「魔王…呪い解いて…苦し…」

「呪い？なんの事だ？」

「うちの足…」

魔王は首を捻りながらニーソックスを下げて驚いた顔をする…

「これは！勇者よ！今すぐ魔王城へ行くぞ！」

「まお…うじょ…？」

「お主は眠っておれ」

うちは魔王の魔法で眠られてしまった。

目が覚めると魔王がうち寝ているベットの隣に座って居眠りしていた。魔王めちゃくちゃ疲れてる？

「魔王？」

「目覚めたか勇者…ワシはお主がもう目覚めぬかと…」

魔王は泣いている。

「魔王うち…」

「お主に言わねばならん事がある。お主の右足は手を尽くしたが切り落とすしかなかった…」

「えぇぇ？呪い解いたら治るんじゃ…」

「そもそも呪いでは無い。破傷風だ」

「破傷風？」

「お主怪我を消毒せずに放置しなかったか？」

「あ…」

「破傷風でお主の右足は腐っておった。何より時間が経ちすぎじゃ。エリクサーを使っても回復出来んかったわ…」

「そっか…魔王うちを助けるために足切ったんだね？」

「うむ…医者に見せておらんのか？」

「見せたよ？呪いって言われた」

うちは経緯を詳しく話す。

「ワシにおぶされ。大臣に話を聞きに行く」

うちは魔王におんぶしてもらった。認識阻害の魔法がかかっているから大臣はうちが見えないんだって。

お城へ転移魔法で飛ぶ…

「何奴？魔物だ！であえであえ！」

「無駄だ…お主の声は外へ届かん…」

大臣は逃げようとするが魔王に剣を突きつけられて諦める。

「勇者の破傷風を何故治さなかった？ダンジョン内で倒れて死んでしまったぞ？」

「勇者など所詮異世界から来た使い捨ての兵だ！金をかける必要は無い！破傷風を治すフルポーションも安くはないからの」

(大臣嘘ついてたんだ！？)

「そうか…勇者は死んだ。改めて人間どもを滅ぼしに参る」

魔王は魔王城へ転移魔法で戻る。

「人間共は思いのほかクズだったな…」

「魔王がうちを助けてくれたんだね？ありがとう」

「礼には及ばん…お主は魔王城でゆっくり暮らすがよい…」

「ありがとう魔王」

魔物達はとても優しくうちはみるみる回復していった。今では片足でぴょんぴょん移動出来る。

(魔王は退治しに来たうちを助けてくれた…)

「魔王うち助けてもらったお礼になんでもするよ！」

「何もせずとも良い…戦争で足を失ったのだ。不自由はさせぬから静かに余生をおくるのだ…」

(魔王は人間と違ってなんの見返りも求めない…人間は僅かなお金で魔王を倒す旅に出ろって言ったのに！病気になっても見捨てたのに！)

「魔王！うちに出来ることがひとつある！」

「なんだ？」

「うちが魔王の子供産んで魔王軍を強くする」

「言っている意味がわかって言っているか？」

「もちろん❤魔王大好きだよ❤」

BAD END