最終話 スペシャルな日常
木曜日、あと数日で十月も終わるというのに今日は
学校が終わるとランドセルを
坂を上って向かったカフェ ロシアンブルーは開店前だ。
「こんにちはぁ。あ、社長!」
「やあ、おかえり。もう社長じゃないけどね」
キジトラ
あの後、スッキライザーZの
それから社長は時々カフェに来るようになり、カウンターでミルクティーを飲みながら次の
社長がネコで、さらに友だちになったのはパパにはひみつにしてる。もし知られたらネコみたいにピョーンってなるくらい
「それでどうだった? オーディションは
ミルクが入ったコップを手に、身を乗り出してくるコタツ。
「うん、
「うぉー! やったな!」
コタツの黒い
「ピアノ教室では
カウンターの中でクロツキも
「うん。実は二回まちがえちゃったんだけどね、みんなで
「音楽は
「うんうん、オレにもなんとなくわかるぜ」
社長ネコのくどくなる話を
「おかわり!」
「飲みすぎだ。もう
ガックリしてテーブルで平べったくなるコタツ。
この間、スイーツの
「よし、できた。ホラ、お
「わあ…! マカロンだ! すごい、か~わいい~っ!」
クロツキが出したお
「これ
「試作品だけど
「え…? わたしのため?」
コタツも社長もニコニコしながらわたしを見てる。
「うんうん、だって凛花のふしぎメガネと
そっか! どこかで見たことあると思ったらわたしのイチゴメガネと同じ色。それにマカロンといえば…
「ル・ブランで
「これだけじゃないけどな。あの店はどのスイーツも
言いながら、クロツキはお
「いただきまぁす。……んん~っ! おいし~い!」
上の
「スペシャル
コタツは一人で
「えぇ!?
「センスがなさすぎる」
「それでは売れないぞ。
コタツのイケてないネーミングと社長ネコが一人でしゃべり
「ありがとう、すごく
ミルクティーのカップを
カウンターの中でクロツキの青い
「あっ、あのねっ、あ、
言った! 言っちゃった!
黒目が
「………ネコに水に
横から飛んできた黒い手のネコパンチがクロツキの顔へ
「なんだよクロツキ!
「くっ…! じゃあお前は水に
「あーっ、ケンカしないで! ネコが水が苦手ってすっかり
「………」
なにか言いたげなクロツキだけど、社長が「では
断られちゃったけどいいんだ。だってわたし、言えたんだもん。メガネでどんくさなわたしがだよ、自分から気持ちを伝えられたんだから。
十月最後の土曜日、
「ナイトプール楽しみ~! 夜に友だちと出かけるってだけでワクワクだよね」
「うん、夏は花火大会に行って楽しかったよね。中学生になっても
「来年はお
「さくらったら、まず好きな人見つけるところからでしょ」
「じゃあさ、今日、
「え、きっと
市民プールの入り口前は、待ち合わせをする人でごった返している。
「げっ、イヤなの見ちゃった。どうしよ
「もしかして
「?」
さくらのふしぎそうな顔。そうだよね、前のわたしなら「やだなぁ」って帰ろうとしていたかも。
それにわたしが前ほど気にしなくなったら、
「あっ、あれカフェ
さくらが指さした方にいるのは確かにクロツキと、わたしたちに手を
「クロツキ…どうして」
「おれだってやればできるんだからな」
黒いパーカーの上に大きな
「店長さん、
「え? えっと…」
「さくらちゃんに言ってなかったのか?
クロツキ店長の
「
さくらったらわたしの
「クロツキの
「そうなの?」
「
わたしは顔が
ネコのくせに
「…
みんなが眠っていた間のことは、わたしたちしか知らないひみつ。わたしもクロツキもコタツも少し
なんて言っていられるのも、
プールではメガネを外すから、
どうしよう、なんでこんなにドキドキするの!?
≪END≫
ふしぎメガネとひみつのカフェ 乃木ちひろ @chihircenciel
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