下戸でも酒テロ注意! アルコールで繋がっていく、縁なき人との奇妙な縁

下戸だった人が急に呑める体質になったら、何が起こるのか。
ひょんなことから、そんな新たな世界の扉を開いてしまった青年のお話です。

ふらっと訪れた夜の公園でお酒を呑む。そこに偶然居合わせた初対面の人と話が弾む。
下戸にとっては想定もできない行動から拡がっていく縁が、何とも楽しいです。
兎にも角にも、お酒が美味しそう。私は一滴も呑めませんが、呑める人がめちゃくちゃ羨ましくなりました。

アルコールの効いた会話が非常にリアル。
素面だったら知り合うこともなかった街の『怪人』たちも、本当にこういう変わった人々が実在するのではと思えてくるほどです。

主人公の喜多屋くんは、20代後半。
仕事では、後輩はいてもまだまだ若手です。
プライベートでは彼女と別れて、将来の見通しも立てられない。
方向性の定まり切らない人生の途上にいる心理に、ものすごく共感を覚えました。
ちょっとした比喩表現も的確で、彼の心の揺らぎが刺さります。

最初の催眠術師との出会いから、ちょっと奇妙な、だけど現実と地続きの不思議な出来事に見舞われ続ける喜多屋くん。
次はどんな人と出会うのか、何に巻き込まれるのか、とても楽しみです。

夢か現か、まさに気持ちよく酔っているかのような読み心地の物語。おすすめです!