にくにくしい歌(高速スピンオフ短歌)

上田 直巳

にくにくしい歌



焼きたれば 肉のあじともわかぬまに 

   空になくなる わいばぁんやな



 ~~~解説~~~


*最初の句では「焼いたならば」の上に焼肉のタレがドバっと掛かっています。


*最後の句ではワイバーン(推定・大阪出身)がほど良い火加減で調理(BURN)されています。


*ワイバーンの肉はよく火を通してから食べましょう。


 ~~~詳説~~~


「んー! やっぱ焼肉は、このタレが一番よね」


「いーやいやいやいや、それは違うでござるよ魔法少女殿。肉の味わいを楽しむためには、塩! 塩でござる」


「えー、どっちでも良くないっすか?」


「アーチャー殿! そんないっぱいタレ付けたら、肉の味がわからんでござるよ! タレ食べてるようなもんではござらぬか」


「……もぐもぐ」


「でも、あの冒険者さんに分けてもらってから、結構経つのよね、この肉。頭陀袋ずだぶくろ保存とはいえ、傷んでないかしら?」


「まあ、よく焼いたらそんな変わんないっしょ」


「ぬぅ!? それを早く言うでござる! 拙者のお腹はデリケートなのでござるよギュルルル」


「……ゴックン」


「ああっ、スナイパー殿! そんなすぐもぐもぐゴックンしたら勿体ないでござる。よく味わって食べるでござるよぉー」


「なに悠長なこと言ってんっすか。焼肉はバトルっすよ! 焼いたら、即、食う。そしてまた次! それが流儀!」


 ~~~


「あぁー、食った食ったっす! 美味い肉は、すぐ無くなるっすね」


「……満腹」


「あれ? なんか、聞こえない?」


「そういや、あっちのほうからヘンな鳴き声みたいのがするっすね」


「壮大な音楽のようでござるな」


「あんた音痴なの? これ不協和音でしょ」


「……いや、なんか、歌ってないっすか?」



 ―謝―


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