第11話 終わるべき理想世界/オーダーシフト
私がそう宣言すれば、世界はただそれだけで崩落する。
世界を終わらせるに足る異能、【
それこそが〈
「……というわけで」
「何がとういうわけで、なんだ。説明しろ説明を」
そう、ポテトをつまんだ塩まみれの指で私を指差す未来。
あまりにがさつなそいつは、私のコーラを勝手に取って飲み下す。
「まー、だいたいわかるけどね。
【
「認識が雑じゃない?
私そんなめちゃくちゃしてる気はないよ?」
「完全に大嘘じゃん」
今回に限っては、まあそうだが。
いつもいつも私のせいというわけではないはずだ。
そもそも【
「……はあ。
〈
「されてないっすよ。どうせろくでもないやつでしょそれ。
ダンナの友人と同じぐらい……いや、名前からしてもっとやばいでしょそれ」
〈
その能力応用は、世界を対象に発動する【
戦闘を継続して興奮状態にある【
それは結果だけを言うと。
世界に課せられた神の秩序、すなわち……運命を破壊する。
「うわ、やっぱりめちゃくちゃ言ってる」
だが、世界は強固である。
人一人の枷を壊すのとはわけが違う。
どれくらい強固かというと。
雑に発動させるだけでは、ものの数十秒で修復されてしまうのだ。
たとえ修復されるとしても。
いや、修復されるからこそ。
どのように壊すかで、その流れを操作する事ができる。
運命の流れに任意のパラメータを埋め込んだり、ある事象だけを消し去ったりできる。
きれいに修復されるからこそ、それによって失われる運命を消しされるのだ。
ただぶつけるだけでも、相手を存在した事実から消しされる魔王の奥義である。
「で、それを使った、と。
そりゃ未来視で見える未来も大幅に揺らぐわけですわ」
手をひらひらとさせながらうっとおしがるような挙動を見せる未来。
「で、何を消し去ったわけ?
聞いても私には認識できそうにないけど」
「詩の偏愛」
「は?」
「詩の偏愛」
「個人の感情まで破壊できんの!?」
厳密にはそれに連なる運命の流れを破壊して異なる可能性で埋め合わせただけだが。
「で。
それはどれくらい持つわけ?」
「よくて二週間……」
「ダンナの妹様、やばくね?」
さて、どうしようか。
詩に関わり続けるのはなんというか、危険だ。
さりとて、彼女は持ち合わせたその能力によって破壊された運命すら取り戻すだろう。
彼女に対応できるような能力者を探すべきだろうか。
未来のような未来視能力者を見つけて出会うこと自体を回避するべきだろうか。
それとも彼女を抑え込める戦力を用意するべきだろうか。
私は未来視なのに全然役に立たないクソコテ女を眺めながら……まあどうにでもなるか、と考えるのをやめた。
終わり。
■■■■■
能力者名:皆崎 綺譚
能力応用:世界に施された運命という枷を外すことで現実を改変する〈
主な用途:ストーカーから逃げる。
■■■■■
皆崎綺譚と奇妙な友人たち 或いは異能を持ったロクでなし達の話 内藤悠月 @knightyou
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