全四部構成の物語は、平安時代と現代とをダイナミックに、違和感なく繋いでくれます。
物語の核となる、屈折した平安時代の姫が、呪いを受けるまでの過程と、その人間性に共感することは難しいかもしれません。
そのこじれた人間性をどう解きほぐしていくのか。そこに至る道筋に、現代の非モテ女子高生という別ベクトルのこじれた人物を配することで、テンポの良い躍動感を生み出し、姫を呪いから解放していくに十分足り得るパワフルな納得感を提示してくれます。
更に年月を経て、姫の呪いを解くに至る展開は、永劫の時を生きる姫一人ではなし得ないこと、人が時の流れと変化の中にあってこそ、人たらしめるのだという事実を、詠み手に痛ましいほどに突きつけ、結末には大いに頷かされます。
平安時代編について、ネガティブに表現しましたが、もちろん面白くない、という意味ではなく、複雑な姫の心理と心の襞が巧みに表現されていて、かつ、驚くようなサイキックホラーの世界を見せてくれます。
色とりどりの物語世界を詰め込んだようなお話です。ぜひご一読ください。
平安時代を読み終えましたが、描写が時代そのものを現しているかのように荘厳な雰囲気の中で物語が始まります。
この時点で物語の世界観が文章から自然と流れ込みノイズを感じることなく、没頭できる練り込まれた設定に舌をまきました!
恋心というものが主軸になるのですが、恋というか一途な想いでしょうか、ホラーという例えが良いかわかりませんが、その想いを読んだ時に自分の背中に何か冷たいモノが走る感覚を覚えます。
現代編はまだ軽く見た程度ですが、時代を跨いだことを感じさせる軽い描写と気楽な会話、このギャップに作者様の筆力の高さが明確に表れていると感じます!
よくよく読み返してみればまさにあらすじの通りなんですよね。
偏りを感じさせない見事なバランスで描かれた恋物語、みなさんも覗いて見ることをお勧めします!