杖に宿りし大魔導師の魂 ～手にするは心優しき少女～

俺は…そうか…死んだのか…」
　　
　魔王に破れ事切れる寸前、自身の魂を杖に宿し、遥か彼方へ飛ばした。
　生まれて四十年弱、生涯を魔術の研究と鍛錬に注ぎ込んだ俺は…ただの喋る魔術マニアの杖になっていた。
　
　目を覚ましたときにはなんと千年も経過してしまっていた。
　俺は負けたはずなのに、人類は滅んでいなかった。

　杖になった俺を拾ったのは、年端も行かない少女。
　身寄りの無い少女は、魔術と俺に大いに興味を持ち、光るものを感じた俺は彼女へ全てを教える事に決める。
　この少女を超一流の魔術師へ育て上げる。
　他にやる事もないしな。

　もしかして俺を超える大英雄になったりしてな。

　ん？魔術はそんなに珍しいのか？　
　よく見たら文明まで後退していないか？

　杖と少女、変わった師弟の冒険譚。