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私の
それは男であることの悲しみなのか。それとも女でないことの悲しみなのか。人間的な悲しみなのだと
はい、ありがとうございます。私、あなたの向けてくれるその
そうですね。
人生というものは罠に
エンゲージリングを指にそっとはめ、そして抜けなくなる。この一連のながれ。それは
あ。教室を満たしていたチーズの香り、その最後のひとかけらが、風に吹かれていきましたね。
はい、ええ、そうですね。
ええ、ええ、……はい? ……もしかして、私をからかっています? と言いつつも、私は、そうでないことを理解している。
正直に告白すれば、ただ、恥ずかしいんですね、つまり
ええ、たしかに、ええ、分かりますその気持ち、痛いほど、いっそ激痛すらともなうほどに。
恋というものは、どうしてこんなにも
『恋に恋する』という言葉が
……
お料理教室の『先生』と、その『生徒さん』。そこに、『禁断の恋』などという言葉の
……あなた、もしかして、泣いているのですか……? ……うれし泣きですって……? そんな、……うれしいのはこちらの方なんですよ……。もとから素直な性格であるあなた、それを差し引いたとしても、……あなたがこんなにも、
……
……さあ、唱えましょう、私たち
……
……あ……。……これは……スターターピストルが、これ見よがしに打ち鳴らされる気配…………こんなにも
はい。それは、いまです。
――チーズトースト、とけてとろけて、時の
fin あるいは
追想のクオリア 倉井さとり @sasugari
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