続きものです。
大事なことなので重ねて言いますが続きものです。
単体で読めなくはないでしょう。作者様も気を使って登場人物紹介やあらすじを書いていらっしゃるので。
しかしあらゆるメディアに通じることですが、人生で初見は一度しか来ません。その大事な最初を、ハンバーガーで喩えるならば真ん中のパティだけを先に食べるようなものです。無論、個人の好き好きなので『俺は最初にパティを食べるんだよ!』と仰る方はいるでしょう。しかし、多くの方はハンバーガーをバンズと一緒に食べるでしょう。
なら、前章である
カルマメイカー ~焦海の異魚(ひがたのにんぎょ)~ 序幕 & 第一幕
を読んでからにした方が十全に楽しめるでしょう。
折角のレビューなのでURLも貼っておきます。面白いですよ。そちらの方でも私、レビューしましたし。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054934977293
さて、これで注釈はおしまいです。一番重要なことなので気合い入れて書いたら既に文字数を結構食ってますが気にしません。以降はネタバレ無しのレビューを書いていきます。文章も堅苦しさを取りましょう。
さて、前作で裏社会の何だかヤベー奴等に目をつけられて取り込まれてしまった主人公、一般書生の宮森くん。今回も当然のようにそんなSAN値直葬級の連中が引き起こす騒動に巻き込まれて(あるいは首を突っ込んで)いきます。
今回では主人公以外の動きも見せていて、例えば秘密の協力者である今日一郎が北極まで行ったり、彼と彼の一族を巡るお話が展開されます。
バトルシーンも増量されており、特に中盤のアクションはエピソードタイトルも相まってゾンビ映画を彷彿とさせました。出てくる敵は動く死体よりも色々とキツイですが。
前作もそうでありましたが、本作はクトゥルフ神話をベースにあらゆる伝記物と魔術、オカルトをごちゃ混ぜに、それでいて独自の世界観という本棚に整然と並べられております。聞いたことのある名前が出てきてはその出典、及び独自解釈に唸ること間違いないでしょう。
しかしベースをクトゥルフ神話としているだけあって、当然のようにSAN値が削られていく展開が目白押しです。夢中になって読み進む前に事前にSAN値チェックを怠らないようにしましょう。
さて、読み終えた私もしておかねば。ダイスロールダイスロール。
―――あれ?ファンブル?
えっと、この物語は第2部です。一部は下記にリンクを貼っておきますので、そちらを先に見た方が「物語」への理解が深まると思います。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054934977293
舞台はWW1の大日本帝国。物語の下敷はクトゥルー神話。一章にて秘密結社「九頭竜会」に入会した主人公は「とある」やんごとなき人のが繰り広げる「狂気」の儀式を目撃します。そして、物語はそこを起点に「さらなる狂気」へといざなわれていきます。
現れた謎の訪問者、明らかになる九頭竜会の野望。それに絡んでくる「クトゥルーの邪神」! というお話なんですが、まぁ、この短いレビューで説明するのは無理ですので、ちょっと物語の「雰囲気」を中心にレビューしますね。
とりあえず恐怖の「ON」と「OFF」がはっきりしている小説です。第二幕の始まりを読み始めると、なぁんだ、明るい楽しそうな小説じゃん!と勘違いするんですよね。これが、でも、第5節くらいまでくると、そんなことを言えなくなります。
なんというか、不気味な湿気で体を覆われているような「いいようのない」恐怖を感じる文調にドンドン心が追い詰められていくのを感じるのです。そうヒシヒシと。。。。
というわけで、本格的なホラーですので、読み始める前には「充分」なSAN値を準備をしておいてくださいね!
時は大正から昭和へと移ろいゆく時代。伝承学者志望の青年、宮森遼一は九頭竜会に入会するが、そこでは古の邪神を復活を目論む儀式を目の当たりにする。それに抵抗する比星兄弟の計画のもと、宮森は邪神復活を阻止する戦いに巻き込まれていくのだが……。
クトゥルフ神話に登場する邪神、旧支配者、神話生物たちが所狭しと大活躍する。一兵卒として戦局を左右し、戦い死んでいく深きものや食屍鬼たち。戦術級の存在として戦いの趨勢を左右する、ダゴンやハイドラら旧支配者の眷属たち。さらに怒涛の如く力の違いを見せる旧支配者の力を秘めた魔人の存在。
跋扈する旧支配者以上の脅威を示すものも現れ、事態は混迷を極めていく。
クトゥルフ神話のファンならずとも、この豪華絢爛、外連味たっぷりの物語には心躍ることだろう。
超常なるものたちの戦いとドラマ、それに打ち震え、歓喜せよ。極上のエンターテインメントにして、ラヴクラフト、ダーレスの流れを組む正統派ホラー巨編。
本作はタイトルにあるとおり「第二幕」となります。まずは「序幕&第一幕」(完結96話)を読むことをお薦めします。とはいえ、私も先に「第二幕」から読んでしまった口で、冒頭に「はじめに読んどけ。」エピソードがあるので、全くついていけないということはありません。
ハワード・フィリップス・ラヴクラフトによるクトゥルフ神話が下敷きになっています。この分野に興味がある方は、まずもっと必読と言えるでしょう。
本作は第一次世界大戦直後の大日本帝国を舞台にした、現代ファンタジー&伝奇ホラーです。
伝承学者を目指す青年の宮森を主人公として、秘密結社、魔術師、邪神、魔物、仙境等々、多彩な要素が盛り込まれ、クトゥルフベースがありながらもオリジナリティ溢れる作品に仕上がっています。
何より、卓越した文章力、構成力が素晴らしいです。一見、硬い文章に思えますが、時にはかなり柔らかな文章があったりと、緩急のつけどころも巧みです。
「第二幕」では北極にまで行ったりと、かなりの広がりを見せていますが、現時点で73話、この物語はどこに行きつくのでしょうか。まだまだ謎と不思議の多い本作です。
是非、この機会に一気読みをいかがでしょうか。独特の世界に惹き込まれますよ。