エピローグ
「……と、まぁこんな感じだ。
私と妻の馴れ初めは」
……一瞬の沈黙。そして、
「…………は?」
「…………え?」
「………………はぁぁぁぁあ!!!?」
クラス一同ブーイングの嵐。
「イヤイヤイヤ
オカシイでしょ!?」
「そこからどうやって結婚に至るんですか!?」
普段、礼節を慮る委員長も滅多に怒らない事で有名な保健委員すらも一斉にツッコミを入れる。
ここは戒律が厳しい事で有名なカトリック系の神学校。青春を謳歌する女生徒達にとっては些か窮屈なルールで縛られており、そんな日々の鬱憤を晴らすのが、もっぱら他人の色恋沙汰の話だ。
大抵は芸能人の類が話題の中心に挙がるのだが、今回白羽の矢が立ったのがこの私である。
あまり気が進まなかったが女生徒達が余りにもしつこく聞いてくるので、渋々語ったのだがこの反応。まるでB級ホラー映画の様な安っぽい内容なのは薄々自覚していたが、余りの反応の悪さに久しく感じていなかった苛立ちを覚える。
「これじゃ、安っぽいB級ホラー映画じゃないですか?」
更に追い討ちをかける様に学年首位の才女が的確なツッコミを入れる。
まんま自分が思っていた事と同じ事を言われ悔しさの余り歯軋りをする私は、何とか言い返せないものかと、もう一度記憶を辿る。
(何か無いだろうか?女生徒達の胸がトキメキ様な、アッと驚く様な……)
しかし、いくら辿っても気のきいたエピソードは思い当たらない。記憶を辿るうち、自然とブツブツと独り言を語り始める……
「……~~んんんん、変わった事と言えば知り合いの女性が何人か音信不通に成ったぐらいだなぁ…………」
それまで大騒ぎだった教室内が気付けば、まるでテスト中の様に静まり返っていた。
それ以来、私の恋話を聞く生徒は誰一人居なくなった。
サイコサスペンスホラーコメディと言う何だか訳の判らないシロモノ 神代 哲 @tetsuojudai
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